シャロン・ヴァン・エッテン、3年振りとなる6枚目のアルバムが完成。私たちを惨状から救い出す美と力を明確に表現したセルフ・プロデュース作。 (C)RS
JMD(2022/04/26)
シャロン・ヴァン・エッテン、3年振りとなる6枚目のアルバムが完成。私たちを惨状から救い出す美と力を明確に表現したセルフ・プロデュース作『ウィーヴ・ビーン・ゴーイング・アバウト・ディス・オール・ロング』、リリース。
Sharon Van Ettenは、常に人々が周囲の世界を理解する手助けをするアーティストだ。彼女の6枚目のアルバム『We've Been Going About ThisAll Wrong』は、世界が崩壊するかもしれないと思ったとき、私たちはどのように感じ、嘆き、自らの意思を取り戻せるのかについて考察したものだ。私たちにとって最も大切なものを、私たちの手に負えない破壊的な力からどのように守ればよいのだろうか? すべてが失われたように見えるとき、私たちはどのようにして価値あるものを救い出すのであろうか? そして、もしそれができなかった場合、私たちはその間、できる限りの愛情を注いできたのだろうか? 十分に努力したのだろうか?
このアルバムでは、私たちをこうした惨状から救い出すことのできる美と力が明確に表現されている。母性、愛、恐怖、コントロールできること/できないこと、多くのトラウマに悩まされる世界で人間であることの意味、といったテーマが、パーソナルに描かれている。Van Ettenのこれまでのアルバムとは異なり、リリース前にアルバムからの楽曲が発表されることはない。収録されている10曲は、希望、喪失、憧れ、回復力といったより大きな物語を語れるよう、順番に、一気に聴けるようにデザインされている。「物事は暗くない。薄暗いだけだ」と、彼女は私たちに思い起こさせる。
Sharon Van Ettenは米ニュージャージー出身のシンガーソングライターだ。2009年にアルバム『Because I Was in Love』でデビュー。2010年のセカンド・アルバム『Epic』に収録の「Love More」がBon IverやThe Nationalにカヴァーされ話題となった。Jagjaguwarと契約後、2012年にサード・アルバム『Tramp』をリリース。The NationalのAaron Dessnerのプロデュースによるこのアルバムは米チャートにランクインするなどヒットを記録。2014年の4枚目のアルバム『Are We There』は大絶賛され、Rolling Stone他、数々のメディアで同年の年間ベスト・アルバムの1枚に選ばれた。2019年1月にはJohnCongletonのプロデュースによる5枚目のアルバム『Remind Me Tomorrow』をリリース。Pitchforkでベスト・ニュー・ミュージックに選ばれる等、こちらも高い評価を獲得。また2016年には女優デビューを果たし大きな話題となった。
発売・販売元 提供資料(2022/04/07)
敏腕プロデューサーのジョン・コングルトンが手掛けた前作から3年ぶりのニュー・アルバムはセルフ・プロデュース。重厚なサウンドだった前作の流れを汲みつつも、ピアノと生ギターの弾き語りが目立つ極めてシンプルな内容だ。特に心の奥底から絞り出したような彼女の歌声が感動的で、キャリア史上もっとも内省的な作品と言っていい。ストリングス・アレンジの天才、オーウェン・パレットも参加。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.462(2022年5月25日発行号)掲載)