| フォーマット | CDアルバム |
| 発売日 | 2001年01月25日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| レーベル | Philips |
| 構成数 | 2 |
| パッケージ仕様 | - |
| 規格品番 | UCCP-1022 |
| SKU | 4988005263599 |
構成数 : 2枚
合計収録時間 : 02:17:39

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秋から冬に季節が移行するこの時期、シューベルトのピアノソナタD894が脳裡に浮かぶ。空から降って来るように音楽が訪れるのである。または、身体の芯から浮かび上がって来る。
そして、手持ちの録音を聞いた次の日の朝、障子越しに遠雷がするので、冬将軍の足音がすると感じて、暦を調べると立冬。
〈Op.78 D894“幻想ソナタ”〉は、伊藤 恵女史の演奏(FOCD-9670)に耳を啓いてもらい、アファナシエフ氏の演奏(COCO-70806)を愛聴した。今冬、ブレンデル氏のアルバムにも収載されていることに、ブリュッセル帯同時に購入してから約20年後に気づいた。窓近くに陳列されていたので金色地のブックレットが陽光を反射して光り、何も知らなかった頃の私には啓示のように感じられて衝動買いした後、帰国後伊藤恵女史が日経新聞で紹介していたCDで、環がつながる特別なアルバムでもある。
シュ―ベルトは、私には特異な作曲家の1人で、結婚前は感傷過多で嫌いな個性、結婚後息子を授かり、社会問題に巻き込まれてる渦中に、伊藤 恵女史の演奏から旋律の美しさとレガ―ト技法の素晴らしさを知り得て、ダルベルト氏の演奏と解説(COCO-73217→8)で音楽表現による心情描写の理解へと導かれ、アファナシエフ氏の独特の解釈による演奏で作品世界に入って行けるようになった。音楽演奏と読書や文学の造詣が、如何に相関関係があるかを体感する。
冬の到来と共に、何故、シュ―ベルトが聴きたくなるのか? 曇天の冬空と寒光、寒樹の冬景色、寒威が日毎に増す中、吐く息が白くなるような凍空の下で聴きたくなる。冬の寂しげな景色全てが詩情を帯びたものとなる。寒色の詩情が、シュ―ベルトの魅力だと思う。
人生の殆んど、半世紀を大都市で生きて、今は地の涯に住んでいる。北緯の涯ではないから、何となく海の向こうには何かがあるように思えるが、極東日本の太平洋海岸は、地の涯でもあると気づいたのは、名古屋や大阪から帰宅すると、駅から帰りの夜の道や、自宅の気配が独特で違うからだった。家中に漂う夜の闇の沈黙が違う。
今冬も寒窓から見える景色がどのように心に映るか楽しみである。どんな思い出や物語となるのか楽しみにしている。
シュ―ベルトは冬の心友。
フランツ・シューベルトFrantz Peter Schubertの祥月命日(1828年11月19日)に。