サウスカロライナのベイエリアをベースとするTORO Y MOI(トロ・イ・モワ)ことチャズ・ベアーは、2022年4月29日、Dead Oceansよりニュー・アルバム『MAHAL』をリリースする。13曲が収録されたこのアルバムは、トロ・イ・モワ名義としては7枚目のアルバムとなる。
『MAHAL』は、「ここ数年の彼のベスト・アルバムのひとつ」とPitchforkが評した2019年のアルバム『Outer Peace』と、AppleのAirpodsのグローバル・キャンペーンに採用され、グラミー賞にもノミネートされたFlumeとのコラボレーション曲「The Difference」に続くもので、Dead Oceansからは初のリリースとなる。
『MAHAL』はチャズ・ベアーがこれまでで最も大胆かつ魅力的な旅をした作品だ。60/70年代のシャギーなサイケデリック・ロックと90年代のモダンなポスト・ロックを網羅したサウンドは、ジャンルとサウンドの垣根を越え、アルバムのジャケットを飾るフィリピン製のジープニーの荷台に乗っているような聴き心地を実現している。『MAHAL』はトロ・イ・モワらしい作品で、過去の作品に立ち返りながらも、Bear独自の方法で新たな道を切り開いている。アルバムは昨年、Bearのオークランドのスタジオで、ソフィー・ロイヤー、ルバン・ニールソン(アンノウン・モータル・オーケストラ)、アラン・パロモ(ネオン・インディアン)、ザ・マットソン2といった多くのコラボレーターを巻き込んで完成した。「他のどのレコードよりも多くのミュージシャンをフィーチャーしたレコードを作りたかったんだ」とチャズ・ベアーは説明する。
発売・販売元 提供資料(2022/04/05)
サウスカロライナのベイエリアをベースとするチャズ・ベアーによるプロジェクト、トロ・イ・モワ。デッド・オーシャンズ移籍第一弾、自身7枚目のアルバム。 (C)RS
JMD(2022/02/18)
2010年代に勃興したチルウェイヴを代表する存在、ということをほとんどの人が忘れているであろうトロ・イ・モワのニュー・アルバムは、さまざまな時代のポップ・ミュージックを自在に操る才気が迸る作品だ。"The Medium"ではノイジーなサイケ・ガレージを鳴り響かせ、"Goes By So Fast"ではジャズの香りが濃厚な心地良い音像を築き上げる。他にもファンクやR&Bといったスパイスが複雑に絡み合ったサウンドからは、国境や規範にとらわれず、多くの音楽的要素を採り入れる寛容さがちらつく。その要素を丹念に編んでいくアレンジも素晴らしい。一曲の中でいくつもの側面が表れる曲群からは、チルウェイヴの時代が終わっても生き残った彼の高い音楽的教養と確かな創作技術が感じられる。
bounce (C)近藤真弥
タワーレコード(vol.461(2022年4月25日発行号)掲載)