ジネット・ヌヴーの協奏曲初録音!
シベリウス/ブラームスのヴァイオリン協奏曲

ロンドン屈指の盛り場・ピカデリーサーカスから北西に5km程の場所に東京の"自由が丘"に似た雰囲気のストリートが通っていて、最寄りの地下鉄駅から少し歩けばビートルズの数々のレコードを送り出したアビーロード・スタジオがあります。1945年に第2世界大戦が終わって半年経った晩秋の日に、多くの音楽家がそこに集ってシベリウスのヴァイオリン協奏曲が録音されました。EMI社の名プロデューサであったウォルター・レッグが、戦争に従軍していた腕利きの演奏家を集めて発足したばかりのフィルハーモニア管弦楽団と戦前から若手女流ヴァイオリニストとして名を馳せていたジネット・ヌヴーによる録音であり、彼女に取っては初の協奏曲録音になります。他方、10年遡る1935年に同じアビーロード・スタジオでハイフェッツがこの曲を世界初録音していますが、この曲は人気がなかったためか顧みられることはなく、1950年代末にEMIのGRシリーズLPレコードでヌヴーの録音がリリースされてその存在が知られる様になりました。
私はラジオ技術誌にLPレコード評を掲載していた盤鬼・西条卓夫氏がヌヴーの演奏を絶賛していたのを読んで、無理をしてこの盤(GR-2084)を入手したのですが、音が非常に悪く曲自体も根暗に聞こえていたので殆ど聴く事なくレコード棚の片隅に放置していました。その後、私がGHA蘇刻を手掛ける様になって、懇意なSPレコード研究者からヌヴーによるシベリウス/ヴァイオリン協奏曲のSPレコードを名器"クレデンザ"で聴かせて戴いて演奏の凄さを再認識し、自らそのSPレコードを入手すると共に、研究者からヌヴーによるブラームス/ヴァイオリン協奏曲の音源を提供戴いて、2010年にKSHKO-9としてリリースしました。
しかしながら10年以上経って在庫が無くなってしまったので、今般性能向上を果たしたGHAを当初のSPレコードからの採音音源に適用してKSHKO-89としてリリースしました。このCDは今日のモノラル録音CDと同等の音質でヌヴーの演奏を楽しむことが出来ます。

発売・販売元 提供資料 （2021/12/28）

ジネット・ヌヴーの協奏曲初録音! (C)RS

JMD （2022/01/13）