プリンスが見出した才能、St.Paul Petersonのニューアルバム
ミネアポリス直球のファンクサウンドにブルース・ロックのEric Galesも参加した良作
ミネアポリス郊外リッチフィールド出身のセント・ポール・ピーターソンは、17歳のとき、プリンスによって見出され、映画『パープル・レイン』で「ザ・タイム」のキーボード奏者として参加。その後、プリンスのプロデュースするグループ「ザ・ファミリー」でリード・ヴォーカルを務め、ソロ・アーティストとしてMCAとアトランティック・レコードでヒットを飛ばす。スティーブ・ミラー、ダリル・ホール、プリンス、ジョージ・ベンソン、オレタ・アダムス、ケニー・ロギンス、モリス・デイ・アンド・ザ・タイムらとレコーディング、ツアー、作曲を行った。シンセ・ポップやニュー・ウェイブの要素を取り入れたファンク・ロック、プリンス周辺で広まったいわゆるミネアポリスサウンドの第一線で活躍を続けている。
本作はリーダーとして5作目、かつ、Leopardレコードからのデビュー作となる。エリック・ゲイルズをギターに迎え、プリンス/ジェームス・ブラウン風のパンチをきかせた表題曲「Break On Free」から、プリンスのバンドでサックスを吹いていたエリック・リーズをフューチャーした「I Couldn't Do It Without You」、パワーバラードの「Beauty Beyond the Darkness」、メタリックなファンクロックの「Big City」、妻への優しい賛歌「Song for Julie (Forever I'll Love You)」まで幅広い楽曲がズラリ。極上のミネアポリスファンクをご堪能あれ。
発売・販売元 提供資料(2023/08/31)
近年はエリック・リーズとのタッグ作やマイティ・ソウルメイツの発掘音源も話題だったが、ソロのオリジナル・アルバムは19年ぶり。ファンキーな80年代タッチの"You Got 2 Love"や地元の旧友たちを讃える"Something In The Water"、ホール&オーツのフィリー讃歌を下地にした"Minne Forget Me Not"など今回はいろんな意味でミネアポリス愛が強めだ。スティーヴィー・ワンダーのカヴァー"Love's In Need Of Love Today"も収録。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.462(2022年5月25日発行号)掲載)