ピアニスト/作曲家イーサン・アイヴァーソンが、ブルーノート・デビュー!
アイヴァーソンが2000年に共同で結成した影響力のあるトリオ、The Bad Plusのポップ/ロックに影響を受けたジャズ・スタイルを再訪しながら、彼自身の音楽史を振り返り、それを発展させた作品で、ベーシストのLarry Grenadierと伝説的なドラマーのJack DeJohnetteとの新しいトリオをフィーチャーした、魅力的で刺激的なアルバム。
先行配信されているM-4「For Ellen Raskin」は、ニューベリー賞を受賞した「ウェスティング・ゲーム」(邦題;「アンクル・サムの遺産」)の作者に捧げられたもので、この作品はアイヴァーソンの文学人生の原型となった1978年の子供向けミステリー小説とのこと。犯罪小説やミステリー文学はアイヴァーソンにとって音楽に次ぐ情熱であり、ラスキンの文章は彼がこのジャンルに最初に触れたものの一つだという。
2017年末にThe Bad Plusを去って以来、アイヴァーソンは象徴的なドラマーであるビリー・ハートとアルバート・"トゥーティ"・ヒースとのコラボレーション、トランペッターのトム・ハレルとサックス奏者のマーク・ターナーとのレコーディング、オーケストラやビッグバンド、マーク・モリス・ダンス・グループへの作曲など多様なプロジェクトに着手していたことに加え、高い評価を得ている長期ブログ「Do the Math」や「The New Yorker」、「The Nation」などの出版物への寄稿により、アイヴァーソンは様々な視点から自身のインスピレーションを探求している。
本作は、The Bad Plusが17年間かけて作り上げたサウンドと共通するスタイルを持っているが、より成熟した作曲家が率いる全く異なるトリオを披露していることに疑いの余地はない。ディジョネットとグレナディアが、パンデミックによってライヴやツアーが中断されたため、珍しくスケジュールが空いていたことを利用して、アイヴァーソンは、需要の高い2人のミュージシャンとのスタジオ・デートをアレンジする機会を得、各プレイヤーの声と才能を見事に理解し、このような素晴らしいコンビネーションを実現した。
「ラリーとジャックのスイングを聴くのは最高だよ」とアイヴァーソンは絶賛する。「この2人がいれば、たくさんの素材は必要ありません。基本的なスケッチ以上のシンプルなものを持ち込めば、それを引き継いで素晴らしい音にしてくれる。それは、50年代、60年代のブルーノートの名盤に通じるもので、印象的な曲でありながら、1ページにはあまり多くの音符が書かれていないのです』とコメント。
【パーソネル】 Ethan Iverson(p) Larry Grenadier(b) Jack DeJohnette(ds)
発売・販売元 提供資料(2022/01/20)
充実の新作ラインナップが目白押しのブルーノート・レーベルからリリースされたイーサン・アイバーソンのトリオ作品、今年の外せない1枚です!聴いた瞬間にニヤリとさせられるジャック・ディジョネットの比類無きサウンドとグルーヴ、そしてラリー・グレナディアの最高級なベース・プレイ。そしてバッド・プラス時代から進化を繰り返している、イーサンの伝統に根差しながらもジャンルを超越したものを感じさせる美しく楽しい音楽の世界。歌の入った導入から始まり、ひと味違うピアノ・トリオの境地へ誘います。
intoxicate (C)谷本真悟
タワーレコード(vol.157(2022年4月20日発行号)掲載)