結成から30年以上DIYのスタイルを貫き、自らのレーベル"マージ"の運営も続けるインディ・ロックの重鎮バンド=スーパーチャンク、4年振りのニュー・アルバムが完成。前作から一転、豪華ゲスト陣を迎え、この悲惨な時代に感謝すべきことについて語った自身12枚目のアルバム『ワイルド・ロンリネス』、リリース。 ゲスト:ノーマン・ブレイク(ティーンエイジ・ファンクラブ)、レイモンド・マッギンリー(ティーンエイジ・ファンクラブ)、オーウェン・パレット、アンディ・スタック(ワイ・オーク)、マイク・ミルズ(R.E.M.)、シャロン・ヴァン・エッテン、フランクリン・ブルーノ、トレイシーアン・キャンベル(カメラ・オブスキュラ)他。
「スーパーチャンクが過去30数年間に制作してきた全てのレコード同様、『Wild Loneliness』はずば抜けて素晴らしく、感染性が高い。『What a Time to Be Alive』での怒りの後、新しいレコードは、この悲惨な時代に失ったものについてではなく、感謝すべきことについてより多くを語っている。このアルバムでバンドは再び発展の可能性にフォーカスしているようだ。その可能性は、曲自体に組み込まれており、その隠された驚きの中にある。例えば、タイトル・トラックでWye OakのAndy Stackのサックスが入ってくると、曲に全く新しい質感が加わる。それは、「This Night」でオーウェン・パレットのストリングスが入ってきた時も同じだ。
そして、私の一番のお気に入りの驚きは、「Endless Summer」におけるティーンエイジ・ファンクラブのノーマン・ブレイクとレイモンド・マッギンリーのハーモニーだ。コロナの為、Mac、Laura、Jim、Jonの4人は別々にレコーディングを行った。しかし、この方法により、マイク・ミルズ(R.E.M.)、シャロン・ヴァン・エッテン、フランクリン・ブルーノ、トレイシーアン・キャンベル(カメラ・オブスキュラ)等の遠距離からの参加が可能となった。収録曲の中にはパンデミック以前に書かれたものもあるが、「Wild Loneliness」のように、隔離された状況で書かれた曲もある。私は、曲は記憶装置だと考えている。音楽は記憶を上手く結晶化させる。「Detroit Has a Skyline」を聴くと、20年前のデトロイトのライブで一緒に歌っていた自分を思い出す。「Overflows」を聴くと、幼い息子が最も欲していた子守唄として、ゆっくりとしたバージョンを囁くように歌っていた頃に戻る。
『Wild Loneliness』は私の人生、そして記憶の一部となろうとしている。それは、あなたの人生の一部にもなるであろう。そして、20年後、50年後、100年後の人たちがこのレコードを聴いて、このアーティスト達が作ったものに感嘆する姿も目に浮かぶ。この憂慮すべき(そして憂慮すべきほど孤立した)時代にアーティストたちが一緒に作り上げたもの、つまり美しさ、可能性、驚きに驚嘆する姿が思い浮かぶのだ。しかし、そんなに長く待つ必要はない。今、驚嘆しよう。」(Maggie Smith)
発売・販売元 提供資料(2021/12/13)
オーウェン・パレットによるストリングスに加え、アコギやホーンも鳴る12枚目のアルバムは、彼ら流のフォーク・ロック/ソフト・ロックなんて趣も。持ち前のエモさは健在ながら、結成33年という活動歴に相応しい成熟を感じたりも。R.E.M.、ティーンエイジ・ファンクラブのメンバー、シャロン・ヴァン・エッテンが加えたハーモニーも聴きどころ。その顔ぶれにスーパーチャンクというステイタスを今一度知る。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.459(2022年2月25日発行号)掲載)