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北京の台所、東京の台所 中国の母から学んだ知恵と暮らし

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フォーマット 書籍
発売日 2021年10月11日
国内/輸入 国内
出版社筑摩書房
構成数 1
パッケージ仕様 文庫
SKU 9784480437679
ページ数 256
判型 文庫

構成数 : 1枚

はじめに 第一章 北京での生活 両親は同じ気象学者、でも、性格は晴れと雨ほどに違う/私の生まれた中国は、こんな時代だった/祖父母の家にお引っ越し/冬の部屋には、いつも酢とみかんの香りが/突然やってきた、祖母との別れ/はじめての卵焼き/北京にはお弁当がないから、昼ご飯は家に帰る /工作のりは母の手作り/母と私は北京を離れて農村へ/北京から自転車で父がやってくる/からしを練るのは私の役目/テストのある日の朝食/家庭訪問のときは、先生をめいっぱいおもてなしする/寮生活のささやかな楽しみ/家族で食卓を囲む幸せ/楽しかった大学生活/生理のときはあずき粥を食べて/最初の就職先は電力会社。でも一年でやめました/北京の市場は、庶民の台所/美肌の秘訣、ハトムギとコラーゲン/私の運命を変えた天安門事件 第二章 東京での生活はじめて見た東京の台所/和食の出発点はカレイの煮魚/妊娠中の食事と離乳食/小麦粉をこねると心が落ちつく/負けずぎらいが取り組ませた小麦粉料理/朝の健康チェック/ご飯、お粥、パン、麺、なんでもありのわが家の朝食/お粥は朝も夜もおすすめ/わが家自慢のかつお節削りで作るみそ汁/わが家の夕食はスープが中心/朝の10分掃除/子どもとはじめた、お茶のお稽古/わが家のお正月料理は日中合作/東京、北京。これだけ違う野菜の切り方きゅうりの回鍋肉/私の台所道具。主役は炒め鍋と包丁/北京へ里帰り/夫婦げんかのこと、そしてわが家の一卓二制度について 第三章 北京菜時記 中国と日本の暦について/春節と餃子。一年でいちばん楽しいお正月/春餅ともやし/春遊と山菜摘み/夏は生野菜で/夏野菜の炒めおかずベスト3/西瓜と冬瓜/夏の朝は豆腐と豆乳で/中秋節と月餅/菊の節供ときのこ鍋/焼きいもと焼き栗/白菜干し/しゃぶしゃぶの街/お茶ときんかん 付録 北京家庭料理レシピ 緑一色の春野菜のあえもの/新茶のスペアリブ蒸し/たけのことそら豆の冬越し漬け物の炒めもの/千切りキャベツと新玉ねぎ、貝のスープ/にんじんとマンゴーのサラダ/夏野菜の煮物/とうもろこし、枝豆、ベーコン入りのチャーハン/野菜カレー&果物カレー/えび、エリンギ、ぎんなんの炒めもの/きのこ鍋/黒米と栗入りの炊きこみご飯/梨とレモンの氷砂糖煮/れんこん、えのき、カリフラワーのからしあえ/ねぎ、大根、ゆり根、山いもの牛すね肉スープ/白菜、昆布、鶏肉だんごのスープ煮/豆腐、かぶの梅干し炒めおわりに 文庫版あとがき 解説ファミリーヒストリーとレシピ 木村衣有子

  1. 1.[書籍]

料理研究家になるまでの半生、文化大革命などの出来事、北京の人々の暮らしの知恵、日中の料理について描く。北京家庭料理レシピ付。解説 木村衣有子

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〈ピーマンの塩炒め〉〈ピーマンのしょうゆ炒め〉、ウ―・ウェン女史のこの2つのレシピは、ピーマンのシンプルな炒めものだが、味付けが塩の時は繊維に沿って細切り、醤油の時は輪切りと、切り方が違う。そして2つともとてもすっきりとした味で歯応えが良くて作り方も簡単で本当に美味。長く印象に残るレシピだった。私はあまり中華も作らないし、故王馬煕純女史の本一冊で20年以上満足していて、しかもなかなか次々となぞっていけない中、新しい出会いだった。
沢山の書籍も上梓されていて、興味を持ち、序を試読していくと、主婦の現実を代弁してくれていて、得心した。
本書は、文革の経験が描かれているので読んだ。歴史書や記録映像は、著名人の凄絶な吊し上げや農村への下放は描かれ知らされていても、一般の人々がどのような状況だったか分かりづらい。
御両親共に気象学者で、文革時は、北京から90km離れた田舎へ6時間かけて自転車で、下放された妻子に会いに来た尊父は、学問があるという理由から連日の迫害を受けていた。
“科学をはじめとする、あらゆる既存のジャンルの学術、教育、文芸を社会に害をなす元凶として破壊していきます。破壊を実行するのは毛沢東に煽動された、学問や経験の未熟な青少年少女たちの集団、紅衛兵です。紅衛兵たちは毛沢東語録の赤い表紙を振りかざし、市中の民家に押し入り、経験豊かな市民を引きずり出して自己批判をせまり、裁判をして理由のない罪をかぶせ、更正をはかるという名目で農村に追いやりました。”Pp.30-31
“学校に行っても、楽しいことはひとつもない。悪い人の娘だから私と遊ぶと悪い人になるとだれも遊んでくれず、だからいつもひとりぼっち。休み時間はひとりで毛沢東語録を読んでいました。本はそれ以外になかったのです。”Pp54-55

歴史の潮流を経験した人のレシピだった。

”食べもの以外はなにも自分を助けてくれないと思ったほうがいい、というのが母の持論。とにかくたくさんの種類の食ぺものを食べるように言われました。” P.105
医食同源という用語や掛け声よりも、実践的。
中国に触れることが少ない私には、久しぶりに文化交流の時間となる読書だった。

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