近年バッハの作品をモダン・ピアノで演奏し、どのアルバムも世界的に評価を高めているダヴィッド・フレイによる、ゆったりとしたテンポでじっくり歌い上げ、ペダルを多用した音は教会の残響を伴い、豊穣な音の伽藍を創り上げた個性的な演奏!
近年バッハの作品をモダン・ピアノで演奏し、どのアルバムも世界的に評価を高めているダヴィッド・フレイ。「表現性はロマン派固有のものでは決してない。バッハの音楽にそれを認めることを、恐れてはならない」と考えており、フレイの奏でるバッハは、独創的で浪漫性豊かなもの。フレイはペダルを使用することも、トーンが豊麗になることも恐れない。むしろ豊かな変化を巡らせて、そこから紡がれる発色性を武器に、情感豊かなバッハを導き出しています。
バッハ最高の鍵盤楽器作品のひとつ「ゴルトベルク変奏曲」をは、最近ワーナークラシックスのピアニストである、ベアトリーチェ・ラナ、アレクサンドル・タロー が録音リリースしていますが、ここに今回ダヴィッド・フレイが新たに加わります。フレイのバッハ演奏は「正確かつ微妙なニュアンス、そして技術的コントロールは貴族的な感覚によって整えてられており、鋭いリズミカルな活力は、透明感のある明暗のソノリティーを生み出している」と賞賛されています。
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ワーナーミュージック・ジャパン
発売・販売元 提供資料(2021/10/08)
この録音は、フレイの生まれ育ったフランス南西部のピレネー山脈にある小さな町、バルバザン=デバのピエタ教会で行われました。『自分が育った場所でこのアルバムを録音することを考えていました。私はいつもこの小さな教会の礼拝堂が大好きでした。ここでの音響は、音を生き生きとさせるユニークなものがあります。ゴルトベルク変奏曲は、私にとってテストです。一生に一度の仕事であり、おそらく人生そのものについての大きな仕事です…一種の瞬間的な儀礼かもしれなし、旅かもしれません。ユーモア、厳格さ、優雅さ、ダンスなど、人間の生活のあらゆる要素がそこにあります。バッハはこれらを「ヴァリエーション(変奏曲)」とは呼びませんでしたが、ドイツ語で「変換」を意味する「Veranderungen」と呼びました。主題のアリアからはじまり、30の変換の後、元の主題に戻ります。それは、あなたがたどった道を振り返って山の頂上にいるかのように、一種の完成と永遠の繰り返しの両方をもたらします。
最後の主題をもう一度再生すると、元の純粋さで、1時間半に起こったすべてのことを振り返って人生の終わりにいるかのようになります。そのような永遠の感覚を与える作品はほとんどありません。私たちは謙虚さと興奮を持ってこの記念碑に到着します。完璧を目指すのではなく、真正性を目指すべきです。意味のあるもの、自然で一貫性のあるもの、そして人類の物語であるために誰もが共感できる物語を生み出すものを生み出すことです』と、フレイは語っています。
そのフレイの演奏ですが、彼はひとつひとつの変奏に命を与えるかの如く、丁寧に音を紡ぎ出していきます。冒頭のアリアからまるで慈しむかのように、ゆったりとしたテンポでじっくり歌い上げながら、次の変奏へと進みます。前述のとおり、ペダルを多用した音は教会の残響を伴い、豊穣な音の伽藍を創り上げることに成功しており、音だけでまさにステンドグラスを通した光の揺らぎときらめきを感じることができるでしょう。タッチは決して滑らかさだけではなく、またフレイは曲によって荒々しく鍵盤をたたきますが、これが効果的な対比を生み出しています。フレイの演奏は、これまでに何人ものピアニストによる「ゴルトベルク変奏曲」を聴いてきた人にも、新しい発見をもたらすことでしょう。
※このディスクは長時間収録(約88分)CDです。通常のCDプレーヤー等で再生可能です。
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ワーナーミュージック・ジャパン
発売・販売元 提供資料(2021/10/08)
The flow of recordings of Bachs Goldberg Variations, BWV 988, seems to have only intensified, but this reading by pianist David Fray has had strong sales in a difficult environment. The reason seems to be not only Frays charisma but also that its a genuinely original interpretation of this much-examined work. Its not just a hyper-pianistic reading but a hyper-detailed one. Fray announces his intentions at the beginning with a very slow Aria that seems to suggest every small gesture will be picked up somewhere further down the line. Fray has room to do this, for he observes all repeats, varying some of them quite a bit, and the whole performance clocks in at almost an hour and a half. He definitively departs from the Baroque sphere with sharp piano attacks (listen to Variation 12 for an idea), slight wrinkles in the tempo, and often the sense that each variation is a little narrative of its own. Some listeners will find it consistently absorbing, while others may feel that the whole thing comes close to collapsing under its own weight at times, but most all will agree that this is not just another recording of the Goldberg Variations. The sound puts the listener up close to Fray, which is in tune with his aims.
Rovi