ブラジルを代表するシンガー・ソングライター、カエターノ・ヴェローゾの約10年ぶりとなる新作『メウ・ココ (MEU COCO)』。本作はソニーミュージック移籍第1弾アルバムとなる。
カエターノ・ヴェローゾはラテン・グラミー賞受賞歴の最も多いブラジル人アーティストであり、獲得したトロフィーは合計13回。さらに2012年にはアカデミーにより「パーソン・オブ・ザ・イヤー」として表彰された。50作以上のアルバムを発表し、ペドロ・アルモドヴァル(Pedro Almodovar)監督の『トーク・トゥ・ハー(Hable con Ella)』やジュリー・テイモア(Julie Taymor)監督の『フリーダ』といった映画のサウンドトラックでコラボレーションを行ってきたカエターノ・ヴェローゾが、アーティストの彼の頭の中を旅する作品になるという新作『メウ・ココ』でシーンに戻ってきた。
発売・販売元 提供資料(2021/11/18)
優しく甘く、滑らかな語感がまとう不思議な浮遊感。カエターノの歌唱は80歳を迎えたいま神憑りっているというか仙人めいているというか。あの大傑作『アブラサッソ』から9年以上を経て発表される新作。コロナにより身動きのとれなかった1年間、脳内=メウ・ココで精製あるいは熟成させた湧きたつ創造力はギターと歌によって骨格化され、末子トンとドニカで活動するルーカス・ヌネスはじめ長男モレーノ、ジャキス・モレレンバウムといった多彩なメンバーにより中東やポルトガル音楽、バイーアの多様なリズム、オーケストラを交え、さらにデジタルと生の垣根も超えて最小の音数で鮮烈な肉付けが施されている。
intoxicate (C)小畑雄巨
タワーレコード(vol.155(2021年12月10日発行号)掲載)