世界各地の辺境音楽のフィールド・レコーディング作品や、中東~アジアのサイケデリア/レア・グルーヴ音源の発掘などでワールド・ミュージック・シーンに革命を起こしたシアトルの大人気レコード・レーベルSublime Frequencies。その音楽好きの好奇心をくすぐる刺激的なラインナップの中から、今回は1960年代から70年代にかけ、アラブ系の有名歌手たちに数多くのヒット・ソングを提供したエジプトの作曲家:バリグ・ハムディ(1931-1993)の全盛期の軌跡をまとめた一枚『70年代エジプトのインストゥルメンタル・モーダル・ポップ』をご紹介。
バリグ・ハムディは1931年10月7日エジプトの首都カイロ都市圏の一部であるショブラ・エル・ケイマで誕生。9歳よりヴァイオリンの演奏を開始し、以降はさまざまな教師のもとで音楽教育を受けていきます。1954年、大学在学中にプロの歌手としてデビュー。法律学を専攻していましたが、デビューを契機に進む道を音楽へと絞りました。まもなくして作曲家へと転向。その作風はアラブの伝統的な民俗音楽の要素と欧米のポピュラー・ミュージック・テイストを組み合わせたポップでキャッチーなサウンド。自国のお国柄を反映したアラビックなメロディ・ラインはそのままに、エキゾチカ~ラウンジ風のモダンなキーボード演奏やサーフ~サイケまでを網羅したエレクトリック・ロック・ギター・サウンド、R&Bテイスト溢れるドラムズなどを導入した魅力あふれるハイブリッド・アラビック・ポップ・サウンドは瞬く間に当時の人々の心を瞬く間に奪いました。50年代後半には有名歌手たちに提供した楽曲が大ヒットを連発。特にアラビアン・ポップの女王として知られるウム・クルスーム、全てのアラブ女性を虜にしたと言われている二枚目歌手アブドゥル・ハリム・ハーフェズ、歌手で女優のシャディーアなどとの共演は彼の中でも最高の仕事であると絶賛され、彼の名はアラブ圏で最も人気のある多作の作曲家として世間に広く浸透していったのです。
今回の作品でフォーカスされているのは、彼が70年代に残した人気ナンバーの数々。R&B~エキゾチカ~サイケデリック~ポップ・ロック~ファンクと、実に様々な要素が取り込まれては消化されていた多作の時期でもあり、まさに彼にとっての黄金期にあたります。またちょうどその頃は、彼率いる伝説のプロ・チーム〈ダイアモンド・オーケストラ〉に加え、アラブのエレクトリック・ギター・ヒーロー:オマール・ホルシードや名オルガン奏者:マグディ・アル=フサイニー他、名実ともに一流の大人気ミュージシャンたちも続々と参加。キャリアの中で着々と洗練を重ね最高潮にまで達したコンポーズ/アレンジメント・テクニック、そしてアラブ伝説のヒーローたちまでもが揃い踏みしたという、完全無欠のスーパー・サウンドは今聴いてみても素晴らしいの一言に尽きます。(1/2)
発売・販売元 提供資料(2021/08/27)
[1]はR&Bのリズムを土台にホーン・セクションやサーフなエレクトリック・ギターをフィーチャーしたエレクトリック・バンド・サウンドにオーケストレーションも組み合わせた名曲。このアラビックな旋律と60~70年代R&Bの不思議な出会いは、ムラトゥ・アスタトゥケなどのエチオ・ジャズ・ファンも夢中になること間違いなしです。[2]はツイスト風のビートにアラブのリズムが複雑に絡み合ったナンバー。民俗的なアプローチのパーカッション・サウンドやドラマチックなストリングスの間をチープでとっぽいオルガン・サウンドが縦横無尽に駆け巡る魅力的な一曲に仕上げられています。パーカッションが奏でる変拍子が楽しい[5]では、たっぷりとシタールをフィーチャー。アラブ主観から生み出されたインディアン・エキゾチカ・サウンドは必聴です。[7]ではアラビックなオーケストレーション・サウンドをバックに、歪みの効いたエレクトリック・ギター・サウンドやアコーディオン、フルートなどのソロを挟み込んだダンサブルな一曲。ラスト[19]はフランスが誇る名作曲家:フランシス・レイの大名曲「ある愛の詩」をイカしたアラビック・テイストで堂々のカヴァー!天才コンポーザーの妙技をたっぷりと堪能できる最高の一曲です。ワールド・ミュージック・ファンはもとより、エキゾチカ~ラウンジ・ファン、60~70'sファンは特に買い逃し厳禁の一枚!(2/2)
発売・販売元 提供資料(2021/08/27)