Port of Notesで求め続けているサウダージとはまた別の郷愁に満ち溢れている、畠山美由紀の ファースト・ソロ・アルバム。言うなれば、誰もが生涯大切に抱いていかなければならないテーマについての、寛大なシンプル・ソングス。それをみずからが月や雨や凪となって唄うことで、聴き手の胸の奥底まで深く深く染み渡らせてゆく。そして、そのとても計り知れない包容力によって遠い記憶の彼方から心根導き出された際には、路傍の人でさえ涙せざるを得ないだろう。大陸的な響きは、4リズムを基調に悠然と刻み込まれる8ビートのアメリカン・ウェイ。プロデューサー&ヘッド・プレイヤーに抜擢された、リトル・クリーチャーズの鈴木正人が施したのがそれで、作風にもっともふさわしい音像として整合させている。田村玄一のペダル・スティールやワイゼンボーンはじめ、その道の職人を駆っての揺るぎない石造り。灯ともしころには慈愛の調べが。
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