マイケル・マントラーが2014年リリースのアルバム「Jazz Composer's Orchestra Update」のコンセプトを継承し、自身の音楽を根本的に見直すために、彼のキャリアのさまざまな瞬間に作られた作品をCodaで再構築した作品。
CDのブックレットには、定義から始まる、"コーダとは、過去の作品の中からテーマとなるものを精巧に再現した、総括的な役割を果たす締めくくりの言葉です"と自身で書いている。マントラー(1943年ウィーン生まれ)が説明するように、過去の作品を再利用することは、数十年にわたって彼のやり方の重要な部分を占めているが、"自分の音楽世界の素材を再利用することは、実のところ、長い間、私の作曲の手順でした。音楽学者は、私の音楽の何がどこから来て、どのように形を変えて再利用されたのか、興味深く考えることでしょう。そうすることで、新たな音楽的思考が生まれてくることが多いのです」とも述べている。
今回のCodaでは、そのコンセプトをさらに推し進め、マントラーが自身のキャリアのいくつかの段階の音楽を新たにアレンジし、再構築した、個人的な「ベスト・オブ」を、クリストフ・チェフの指揮で再び組曲にしている。「Jazz Composer's Orchestra Update」では、大編成のジャズ・ビッグバンドが演奏されましたが、今回のオーケストラは主にクラシック音楽の演奏者で構成されている。しかし、ピアニストのデビッド・ヘルボック、ギタリストのビャーネ・ルーペ、そしてマントラー自身のトランペットなど、ジャズのソリストが参加しているため、「明らかにジャズから来ている環境の中で音楽を支えている」と言える作品。1975年から2010年の間にリリースされたWATTのアルバム「13 & 3/4」と「Alien」、ECMのアルバム「Cerco un Paese Innocente」、「Hide and Seek」、「For Two」など、全く異なる形で収録されたマントラーの作品が中心となっている。
【パーソネル】Michael Mantler:(tp) Bjarne Roupe(g) Maximilian Kanzler(vibes, marimba) David Helbock(p) Leo Eibensteiner(fl)Peter Tavernaro(oboe) David Lehner(cl) Fabian Rucker(b-cl) Christoph Walder(french horn) Daniel Riegler(tb) Simon Teurezbacher(tuba) Joanna Lewis,Ulrike Greuter, Diane Pascal, Tomas Novak, Simon Frick, Maximilian Bratt, Magdalena Zenz, Emily Stewart(vlns) Simon Schellnegger, Anna Magdalena Siakala, Daniel Moser, Tamara Stajner(vlas; Asja Valcic, Arne Kircher(cellos) Tibor Kovesdi, Philipp Kienberger(b) Christoph Cech(cond)
発売・販売元 提供資料(2021/06/17)
後数年で70歳。ウィーンに生まれてニューヨークに渡りセシル・テイラーなどの前衛と演奏し、60年代の後半にはカーラ・ブレイと共にジャズ・コンポーザーズ・ギルドを立ち上げ、68年にジャズ・コンポーザーズ・オーケストラとしてアルバムをリリースする。73年にはレーベル、WATTを立ち上げ彼とカーラの作品を今日に至るまで発表し続ける。以降作曲家としての活動に重きを置き、ハロルド・ピンターやレーベル名である作品を書いたサミュエル・ベケットのテキストを作品化してきた。このアルバムはセルフ・カヴァーで彼のお気に入りをオーケストレーションした。ECMからは彼の作品のスコアと音源をエディションとして現在リリース中。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.153(2021年8月20日発行号)掲載)