数々のヒットを飛ばすボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディランによるバンド、ザ・ウォールフラワーズ。実に9年振りとなる7枚目のアルバム『イグジット・ワウンズ』、リリース。
過去30年間、Jakob Dylanが主導するThe Wallflowersは、ロックにおいて最もダイナミックで目的を持ったバンドとして存在してきた。タイムレスなソングライティングとストーリーテリングをモダン・ミュージックに調和させ、サウンドに集中し、継続的に磨きをかけてきたのだ。その特徴的なスタイルは何十年にもわたって提示され、1996年の大ヒット・アルバム『Bringing Down the Horse』や目下の最新作である2012年の『Glad All Over』に焼き付けられている。『Exit Wounds』はThe Wallflowersの新しいスタジオ・アルバムとなる。タイトルの通り、この作品は幾つかの事を経験した個人および集団の人々への賛辞となる。「4年前と同じ人は誰もいない。これが僕にとって『Exit Wounds』が意味するものだ。否定的なことを意味するものではない。どこへ向かっても、たとえそれがより良い場所に向かっていたとしても、我々は人や物を置き去りにし、それらについて考え、結果、常にそれらを身につけることになってしまう。それこそが『Exit Wounds』で、僕らは皆、その中で泳いでいるのだ」とDylanは語る。
The WallflowersはBob Dylanの息子、Jakob Dylan により1989年にLAで結成された。1992年にデビュー・アルバム『The Wallflowers』をリリース。1996年にリリースしたセカンド・アルバム『Bringing Down the Horse』はプラチナ・ディスクとなり、400万枚以上のセールスを記録。バンドは1998年のグラミー賞で最優秀ロック・パフォーマンスと最優秀ベスト・ロック・ソングを獲得した。その後も継続的にアルバムを発表し、2012年には目下の最新作『Glad All Over』をリリースした。
発売・販売元 提供資料(2021/05/11)
ジェイコブ・ディランはやっぱこの名前を背負って立つときがもっとも男前に見える。前作『Glad All Over』から9年も空いたし、意表を突く新機軸が用意されていたりして?なんて考えもよぎったが、目線はまっすぐルーツ方向へ。トム・ペティへの敬愛が滲むカントリー・ロック仕様の"Roots And Wings"、シェルビィ・リンとの掛け合いがエモーショナルなフォーク・ロック調の"Maybe Your Heart's Not In It No More"など、どのサウンドも長時間かけて練り上げられた燻し銀の色合いをしていて、風味満点だ。落ち着きのなかに溌溂とした空気を注入するブッチ・ウォーカーのプロデュース・ワークも冴えている。ウォールフラワーズがなんで好きなのか?という理由を一曲一曲じっくり噛みしめつつ確かめたい。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.451(2021年6月25日発行号)掲載)