リズ・フェア、11年振りとなる待望の新作が完成。『エグザイル・イン・ガイヴィル』他、初期作品も手掛けたブラッド・ウッドのプロデュースによる7枚目のアルバム『ソーバリッシュ』、リリース。
Liz Phairは11年振りとなる待望のニュー・アルバム『Soberish』の詳細を発表した。『Exile In Guyville』『Whip-Smart』『whitechocolatespaceegg』といったPhairの作品も手掛けた長年のコラボレーター、Brad Woodのプロデュースによるアルバムは、2021年6月4日にChrysalis Recordsよりリリースされる。彼女の比類なきデビュー・アルバム『Exile In Guyville』(Rolling Stone誌、2020年度の500グレイテスト・アルバム・オブ・オール・タイムで56位にランクイン)がリリースされてからほぼ30年が経ったが、長年のファンを満足させ、若いオーディエンスに今の彼らのヒーローに影響を与えた自身を紹介する為、彼女は戻ってきた。1990年代、Liz Phairはインディ・ロックの規範の中心にいた。数えきれないほどの雑誌、初期のAppleのCM、Gapの広告等に取り上げられ、彼女のようなオルタナティヴな存在では考えられないような地位を確立したのだ。『Soberish』は今のPhairの肖像画だ。そこでは、彼女が持つメロディックなアウトプットの全てが美しく完璧な形で合成する。アレンジは伝統的なソングライティングの基準からはかけ離れているが、フックはとてもキャッチーで、リスナーが音楽と共に引きこまれるそのイメージには説得力がある。
発売・販売元 提供資料(2021/04/28)
11年ぶりの新作が印象づけるのは、シカゴのオルタナ・クイーンの帰還。00年代前半はそんなレッテルから逃れるように持ち前のメロディーセンスを活かす方法としてポップなプロダクションを求めたが、今作ではオルタナ・クイーンと称されるきっかけになった初作『Exile In Guyville』(93年)などマタドール時代の3枚を手掛けたプロデューサー、ブラッド・ウッドと23年ぶりに組んだことからも、彼女が原点に立ち返ろうとしていることは窺える。80sニューウェイヴ、ヒップホップ、ジャズにもアプローチしながら、一周回ったインディー・ロックに追いつき、現役感をアピールする全11曲。しかし、その軸にあるのは、ぶっきらぼうにギターを掻き鳴らす90年代的なローファイ・オルタナ・ロックだ。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.450(2021年5月25日発行号)掲載)