スーパー・ギタリスト=ポール・ギルバート 2年ぶりの最新ソロアルバム『Werewolves of Portland』
MR.BIG、レーサーXの超絶ギタリスト=ポール・ギルバート。 前作より2年ぶり、通算16枚目となるオリジナル・ソロアルバム『ウェアウルヴス・オブ・ポートランド』。当初、2020年の春に他のミュージシャンとレコーディング予定だったが、コロナ禍のロックダウンのため全て保留に。その後もロックダウンが延々と続く中、他の方法でアルバムを作る方法はないものかと考え、今作ではギターのみならず、ドラム、ベース、キーボードなど全ての楽器をポール自ら演奏。またインストゥルメンタル作品でありながら、全ての楽曲にポール自身による歌詞が存在している。その点についてポールは「ソングライティングの大半は、歌うことから始まったんだ。短い歌詞を書いてから色んな歌い方をして、どんなメロディが出てくるか様子を見た。頭の中でぐるぐる回るほど強力なメロディだったら、ギターを手に取って、コードやグルーヴを考え出したんだ。」と述べている。このような制作過程についても「自分のギターを"声"としてこれらのメロディを演奏することは本当に喜びを感じたね。僕のヴォーカリストとしての制約すべてが取り除かれたんだ。ギターなら高い音も出せるしね!声のために書かれたメロディには(息継ぎのための)間(ま)が入っている。僕はギターを弾くときにその間が残っているサウンドがとても気に入っている。僕みたいな「シュレッダー」(訳注:速弾きする人のこと)にとって、間があるというのはびっくりするような発見に繋がることもあるんだ!」と語り、まさに彼の新境地ともいえる制作過程が垣間見える。
発売・販売元 提供資料(2021/05/14)
ソロ16作目は、コロナ禍によって当初の予定を白紙にし、ポール自身がギターだけではなく、ベース、キーボード、ドラムスなど全楽器を担当して完成させたインスト作に。〈歌うことから始めた〉という独自の作曲方法から生まれた楽曲群は、メロディアスで場面展開も非常に豊か。詩情に溢れたカラフルな音色で饒舌に語りかけてくる。テクニカルなものからブルージーなニュアンスまで、彼の魅力が全開になっている。
bounce (C)荒金良介
タワーレコード(vol.450(2021年5月25日発行号)掲載)