音楽は決して終わらない。(トニー・アレン)
アフロビートの帝王最期のアルバムにして、最も冒険心溢れる傑作。デーモン・アルバーン、スケプタ、サンパ・ザ・グレイト、ダニー・ブラウン等豪華ゲストが参加!
ブライアン・イーノをして「史上最高のドラマー」と言わしめたそのグルーヴは、リミックス音源などを通じて従来のファンのみならず多くの若いオーディエンスも惹きつけてやまない2020年4月30日に亡くなったドラマーにしてアフロビートの帝王トニー・アレンの最期の作品。
トニー・アレンが亡くなる直前にレコーディングしていた遺作と位置付けられるもの。アート・ブレイキーのトリビュートやジェフ・ミルズとのコラボレーションなど近年は冒険心溢れるプロジェクトに取り組んでいた彼だが、本作で彼がコンセプトとして置いていたのはヒップホップ。「素晴らしい才能を持つ若い世代を世に送り出したい」という彼の願いを反映する形で、スケプタやダニー・ブラウン、サンパ・ザ・グレイトといった豪華な面子のみならずナー・イートやコリアタウン・オディティ、ラヴァ・ラ・ルーなど才能溢れる気鋭のアーティストまで幅広く各トラックにフィーチャー。最期まで実験的なスピリットを失わなかったトニー・アレンの冒険心、クリエイティビティを存分に感じ取れる充実の内容。
中でも今作の中で最初にレコーディングされた「コズモシス」という曲では、ベン・オクリ、スケプタのフィーチャリングに加えデーモン・アルバーン(ブラー、ゴリラズ)とも共演。トニーならではのビートにデーモンの印象的なオルガンが絡み合い、その上をベン・オクリのスピーチとスケプタのフローが飛び交う秀逸な仕上がりとなっている。
180g重量盤2LP。CDよりも2曲少ない全12曲入り。
発売・販売元 提供資料(2021/05/07)
音楽史に多大な影響をもたらしたアフロビートの帝王のあまりにも唐突な訃報から1年、亡くなる直前まで制作が続けられていたという遺作が、命日にあたる4月30日にリリース。ヒップホップにフォーカスした今回はスケプタやダニー・ブラウンらの豪華ゲストに加え、新進気鋭の若き才能も多数フックアップ。晩年においてもなお音楽を心から楽しみ、その可能性を拡張し続けた偉人の精神は今作を通じて次代に受け継がれていくはずだ。
bounce (C)長谷川義和
タワーレコード(vol.449(2021年4月25日発行号)掲載)