刺激的なエレクトリック・サウンドを追求し続ける電子音楽デュオ、マウス・オン・マーズの、ジャスティン・ヴァーノン(ボン・イヴェール)、アーロン&ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)、ザック・コンドン(ベイルート)、サム・アミドン他が参加した2018年のThrill Jockey帰還作『ディメンショナル・ピープル』以来、約3年振りとなる新作アルバムが完成。AI(人工知能)技術を大胆に導入し(作曲ツールとしても活用)、アルバム・タイトルそのものが『AAI(Anarchic Artificial Intelligence)』となった。 (C)RS
JMD(2021/01/23)
時にはポップに、時には実験的に……ベルリンを拠点に90年代初頭から活動するエレクトロニック・デュオの、〈無秩序な人工知能〉と名付けられた新作。彼らの尽きることのない遊び心と想像力は、ついに作曲にAIを持ち込んだ! 軽快に跳ねる細切れのエレクトロニクスとうねる低音の生み出すポリリズムがダンス・ミュージックとの絶妙な距離感を保ち、我々リスナーの脳と身体をこれでもかと揺らしてくる。
bounce (C)長谷川義和
タワーレコード(vol.447(2021年2月25日発行号)掲載)
「アナーキックな人工知能」という題が全てを物語る独電子音楽デュオ、マウス・オン・マーズの新作。ジャスティン・ヴァーノンら人々の声を呼び込んだ前作『Dimensional People』に対し、プログラマーたちとの協働によるAIでの作曲、そしてボストン大教授ルイス・シュデ=ソケイの言葉が今作の核だ。シュデ=ソケイはアフリカンディアスポラの文学、政治、文化の研究者で、これはつまりBLMを受けた彼らの態度の表明である。それに応じてアフリカンリズムが取り入れられ、電子音の躍動とキッチュな茶目っ気、そして政治性が奇妙に同居することになった。未だ最前線に立つ二人が現在性に向き合った傑作と言っていい。
intoxicate (C)天野龍太郎
タワーレコード(vol.150(2021年2月20日発行号)掲載)