キューバの田舎音楽グァヒーラを代表する名作、ついにCD化!故・中村とうよう氏いわく<グァヒーラのレコードの中でこれが最高のものであることは、自信を持ってタイコ判を押せる>
セプテート・ナシォナールの名作『ソネス・クバーノス』に続いて、キューバ音楽の歴史を代表する名作LPをご紹介することにいたします。今回お聴きいただくのは、グァヒーラと呼ばれる分野の最高傑作として誉れ高いラモーン・ベロスとコラリア・フェルナンデス夫妻の『フィエスタ・クバーナ~グァヒーラのお祭り』です。
グァヒーラとはキューバのプア・ホワイト、山岳地帯で農業を営む白人農民たちの音楽です。ただし、キューバでは19世紀から砂糖プランテーションが全土を覆い、農村ののどかな田園風景は崩壊しました。そんな中で、20世紀に入ってから都市に流入した農民たちの音楽として親しまれたのが「グァヒーラ・デ・サロン」と呼ばれる新しいグァヒーラです。これは民俗音楽としてのグァヒーラではなく、「創作された田舎歌謡」としての現代グァヒーラでした。
その分野のパイオニアと言われるのが30年代後半から活躍したギジェルモ・ポルタバレスですが、その方向性を受け継ぎ、さらに濃密かつ現代的な音楽を作りだしてくれたのがラモーン・ベロスとコラリア・フェルナンデス夫婦+エドゥアルド・サボリート楽団でした。その3者によって作られた現代グァヒーラの最高傑作が、1956年録音のこのアルバムです。「グァヒーラ・デ・サロン」の創始者であるポルタバレスが残した名曲をはじめ、そのライヴァルと目される最高の女流作曲家セリア・ロメーロが残した名曲の数々など、現代グァヒーラを代表する最高のレパートリーが並びます。どれもこれもキューバの田園風景を思わせるような名旋律ばかり。そしてさらにすばらしいのが伴奏のサボリート楽団で、こちらは19世紀の伝統グァヒーラから受け継いだ弦楽器ラウードをまじえた独特のアンサンブルで、これまたキューバの田舎音楽ならではのサウンドを楽しませます。
どれもすばらしい曲と歌と演奏ばかりですが、中でも大きく盛り上がるのが最後から2曲目に収録されたサボリート作の「砂糖工場の田舎娘」でしょうか。特に後半ではベロスの歌声が珍しく詠嘆調になり、アジアっぽいコブシを回して熱を帯びてきたところで、最後に名曲「キューバ哀歌」の一節が飛び出す展開が鳥肌ものです。故・中村とうようさんはこの部分を<誇張でなくゾクゾクっとしてしまう>と書かれていました。
ディスコロヒア印ですから、いつも通りの最高のマスタリングと詳しい解説/対訳付きのブックレットでお届けします。これもまた、最低100回は楽しめる名盤。ラテン音楽ファンは必聴です。
選曲/解説:田中勝則
発売・販売元 提供資料(2020/11/12)
キューバの山岳地帯で農業を営む白人農民たちの音楽<グァヒーラ>と呼ばれる分野の最高傑作として誉れ高いラモーン・ベロスとコラリア・フェルナンデス夫妻の作品。 (C)RS
JMD(2020/11/07)