2020年代はじめての作品として、アルバム『SIGN』をリリースしたばかりのオウテカが、早くも新作『PLUS』を発表。全11曲約65分の構成となった『SIGN』の単なるアウトテイク集ではなく、本作『PLUS』には明確にサウンド面での差異化がなされた全9曲64分を収録(国内盤CDにはボーナストラック追加収録)。
『SIGN』と対になる作品。『SIGN』と同時期に録音されたものの『SIGN』には入りきれなかった曲を集めたものだが、単なるアウトテイク集ではなく、『SIGN』とは明確にサウンド面での差異化がなされている。昨年の段階で『SIGN』の基本的な方向性は決まっていて、そのコンセプトに合わなかった作品を集めたものだ。『SIGN』はアンビエント~ドローン色の強い、エモーショナルでリリカルな音響アート集だったが、『PLUS』は、オウテカらしい変則リズムとねじ曲がったビート、屈折した曲調が前面に出た、よりエクスペリメンタルでノイジーな作品集となっている。ただ、打ちつけるようにハードで攻撃的で強迫的なインダストリアル・サウンドは控えめで、そのねじれたサウンドは静謐でクールで、むしろ内省的ですらある。
公式インタビューで彼らは、今は踊るためのビート重視の音楽を作りたいとはあまり思わない、と発言しているが、その冷え冷えとした孤立感は、今の世界を覆う閉塞感に通じるものがある。画一的な集団熱狂や同調圧力、退屈な常套句や横並びの行動や十把一絡げの表現、そんなものを拒絶したストイックで厳しい音には孤立を恐れない強靱な意志が漲っていて、それゆえにヒリヒリとした生の実感が張りついているのだ。国内盤CDには、ボーナストラック「p1p2」が追加収録され、解説書が封入される。
発売・販売元 提供資料(2020/10/29)
先日リリースされた『Sign』 は予想以上に聴きやすい内容で、ファンにとってもサプライズな一枚だった。が、さらに驚かされたのは間髪入れずに今作のリリースが発表されたことだ。同時期に制作されたという2つの作品を比較するならば、狂ったようなシンセや激しく揺れるベースラインから受ける印象が昔ながらのオウテカのサウンドを彷彿とさせるという点で、こちらのほうが彼ららしいアルバムだと言えるだろう。
bounce (C)長谷川義和
タワーレコード(vol.444(2020年11月25日発行号)掲載)