ここは血の果てアルカイック・スマイル。ここは日の果てアルカイック・スマイル。ここは気の果てアルカイック・スマイル。カスバの女ならぬカスカスの男、を、さらに絞って絞って、そこからとろとろぽたりぽたり何が絞り出されてくるんか、ちゅうことが町田康氏の文業（本来なら、ぶんげふ、とふりがなをふり、ぶんぎょう、と読ませるべきところだが、ここはひとつ、カルマの意を込めて、ぶんごふ、とふりがなをふり、ぶんごうと読ませたいところではあるが、そこは汝のお気の召すままに）および歌業（本来なら、かげふ、とふりがなを〈中略〉の召すままに）における焦点であると我は我なりに思っているのだが、もちろん汝には汝の考えもあろう。しかし、町田康氏のあの不思議と顫えを帯びた歌声、音譜にはどうしてもあともう一歩のところでよう再現せーへんあの錯乱の歌声、をよく聴いてみてほしい。あれこそカスカスを絞りに絞らんとして精根を傾けたるが故の顫え、もしくは、絶唱、もしくは、微苦唱、ではあるまいか。いやあれは、むしろ、何者かに何故にか精根を傾けられてカスカスを絞られに絞られんとしているが故の顫え、もしくは、失唱、もしくは、ただの祈り、なんだ、と汝は申すか。なるほど、なるほど、そうやって豚の言葉で我を言いくるめようとするのだな、率直に言うとあれは単に怠けたツケがドーンときてそれでやや顫えているだけなのだよ。ははあ、そりあ盲点だつたね、でもそれでもやはり祈りは祈りだよ、悲しく悲しく切迫した切実な祈りだよ、何者かとのインタラクティブな祈りだよ、さあ、〽惚れたはれたの明け暮れに　社長大尽相手せぬ　君はバカだよ　君はバカだよ　君はバカだよ　俺もバカモノだよ　金がないから人生終わる　頭かかえたパンクマン　金はないけど楽しくいこう　ガンジャくわえたラスタマン　金があってもいつかは死ぬる　暑さ寒さも彼岸まで　金は此の世の果報のしるし　夜ごと日ごとの賑わい、縁のめばえ（「縁のめばえ」より）。ここは死の果てアルカイック・スマイル。縁がめばえて、集ひ合ひたる汝、我が民に非ズの６人衆、を、縁がめばえて聴く、汝が民に非ざる我、の文章を読む汝の心の微妙な顫動、のよってきたる淵源で豚にチャーハンやった、やり尽くした、やり呆けた、それでもやり続けた、っけ。