世界を魅了するソプラノ、クリスティアーネ・カルク、マーラー歌曲集!
マーラー自身が演奏したピアノ・ロールによる楽曲も収録
世界的ソプラノ、クリスティアーネ・カルクがハルモニアムンディから登場!第1弾はマーラーの歌曲集。抜群のセンスと、非の打ちどころなく安定したテクニックで、オペラだけでなく歌曲でも、ひとつひとつの楽曲の世界を完璧に作り上げることができる稀有の歌手、カルク。長年のピアノ・パートナーであるマルコム・マルティノーとの完璧なアンサンブルに加え、マーラー自身が演奏したピアノ・ロールとの楽曲も含まれている、なんとも注目の内容です。
=(ブックレットより抄訳)2018年5月のブルージュの雨の夜。長い一日の移動の後、今まで知らなかった楽器であるヴェルテ・ミニョンのピアノを使ってのリハーサルが予定されていました。そこではオーケストラと一緒にマーラーのリートを歌い、交響曲第4番「天上の光」からのソロに加えて、グスタフ・マーラー自身がヴェルテ・ピアノで録音したオリジナルの伴奏でそのヴァージョンを歌うことになっていました。(中略)グスタフ・マーラーと一緒に音楽を作るという特権を享受することになったのです。その特別な瞬間は永遠に私の記憶に残り、この録音を通して、私の経験を他の人に伝えていきたいと思います。オーケストラとウェルテ・ピアノの両方でこの「天上の光」を演奏することを提案してくれたイヴァン・フィッシャーに感謝しなければなりません。=
クリスティアーネ・カルクはドイツ(バイエルン)出身。2006年ザルツブルク音楽祭にデビュー後、『魔笛』(パミーナ)、『ばらの騎士』(ゾフィー)、『フィガロの結婚』(スザンナおよび伯爵夫人)、『コジ・ファン・トゥッテ』(フィオルディリージ)、『カルメン』(ミカエラ)といった役を、MET、ミラノ、バイエルン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場といった世界の名だたる歌劇場で聴かせています。ハーディング、ティーレマン、ムーティ、ネゼ=セガン、エッシェンバッハ、ブロムシュテット、イヴァン・フィッシャーらといった指揮者率いるオーケストラとの共演も多数。リサイタル歌手としても傑出しており、ウィーンの楽友協会ホール、シュヴァルツェンベルクのシューベルティアーデ音楽祭、ウィグモア・ホールなどに出演しています。ピアノのマルコム・マルティノーとは長年にわたり共演しています。マルティノーはエジンバラ生まれ、とりわけ声楽のピアノ・パートナーとして世界的に高く評価されており、これまでにジャネット・ベイカー、コジェナー、キーンリサイド、フェリシティ・ロット、ネトレプコ、フォン・オッターといった歌手たちからも信頼されており、彼らとの録音も多数。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2020/09/16)
Soprano Christiane Karg is something of a Mahler specialist, with a flexible, slightly metallic voice that fits the composers extremes of expression. Her fans will take naturally to this release with accompaniment, mostly by pianist Malcolm Martineau. Karg includes a generous sampling of the early Mahler songs published in the 1890s as Lieder und Gesange aus der Jugendzeit, and she finds the very Mahlerian qualities in them even though they are harmonically simpler than his mature works. There are also good, edgy performances of the Ruckert-Lieder and of songs from Des Knaben Wunderhorn. However, the big news for general listeners here, and even for Mahler lovers, will be the last two tracks, bearing the notation Gustav Mahler, piano (Welte-Mignon piano rolls). Apparently, this is the first time these have been recorded as accompaniments for a singer, and the results are extremely intriguing. Mahlers free tempos are striking, as is the effect of having a singer, in effect, accompany the piano. Its worth bearing in mind that Mahler made these rolls not as part of a formal performance but at the behest of Edwin Welte, one of the inventors of the piano roll. Mahler might easily have taken a breezy approach to the performance. Nevertheless, the reading here of Das himmlische Leben, from Des Knaben Wunderhorn, interprets the song in a whole new way. This is one of Mahlers best-known songs, thanks to its use in the finale of the Symphony No. 4 in G major, and the Karg-Mahler performance is distinctive enough to suggest the performance of other songs along the lines implied here. Karg and Martineau do not attempt to do this, and they might have. Mahler lovers need to hear these unique performances nonetheless.
Rovi
ドイツのソプラノ、カルクの素晴らしさを享受したのはウィグモア2012年ライヴだった。独仏歌曲を織り交ぜたその鮮やかなコントラスト。さかのぼってのソロ・アルバム、ソリストやオペラでの歌唱、どれも実に卓抜で、理知的なアプローチと豊かな歌心の発露が印象的。その彼女が録音したマーラー・アルバムは期待に違わぬ秀逸作だ。《私はこの世に忘れられ》で醸し出される玄妙な美。マーラーがヴェルデ・ミニョンのピアノ・ロールに録音した自作4曲のうちの2曲の音源に乗せての歌唱は、実に興味深い試み。第4交響曲終楽章での古風なテンポの揺らしにもカルクが巧緻に対応し、楽曲から独特の味わいが生まれた。
intoxicate (C)森山慶方
タワーレコード(vol.149(2020年12月10日発行号)掲載)