この男"スーパースター"につき-ザ・ウィークエンド。前作に続き全米・全英アルバム1位、グラミー賞受賞した大ヒット4thアルバム。今作では2014年にグラミー賞を総なめにしたダフト・パンクが参加。1stシングル「スターボーイ」は全米・全英シングル1位となり、アルバムも2作連続となる全米・全英1位を獲得した。さらに第60回グラミー賞で前作に続き最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞を受賞。 (C)RS
JMD(2020/08/08)
アンビエントR&Bと呼ばれたトレンドに退廃の美学を持ち込んできたウィークエンドだが、ここでの風通しの良さを聴けば完全に潮目が変わったことがわかる。名実共に〈スターボーイ〉となった彼がこの3作目で聴かせるのは、ダフト・パンクを迎えた2曲での過去最高にスムースなMJオマージュや、マックス・マーティンによるUKガラージ風の小気味良い"Rockin'"、カシミア・キャット製の穏やかなメロディーを柔らかく歌う"True Colors"など、ポップな感触がアルバムを占めている。ケンドリック・ラマーと成功譚を綴る共演"Sidewalks"もブルージーだがどこか開放的だ。もちろん、ディプロやメトロ・ブーミンらによる重たくドラッギーなトラックに映えるナイーヴな歌い口など、従来の陰鬱なムードも要所で見せるが、もはやそれが彼の主たる魅力ではない。音楽的選択肢がさらに広がったことでの色づきと、彼自身のダークな資質が最高のバランスで混ざり合った、アーティストとしてのひとつのピークを収めた傑作だ。
bounce (C)池谷昌之
タワーレコード(vol.398(2016年12月25日発行号)掲載)