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| フォーマット | 書籍 |
| 発売日 | 2019年11月30日 |
| 国内/輸入 | 国内 |
| 出版社 | 百万年書房 |
| 構成数 | 1 |
| パッケージ仕様 | - |
| SKU | 9784910053110 |
| ページ数 | 160 |
| 判型 | B6変形 |
構成数 : 1枚
「自分の姿を知られるのは恥ずかしいと思った。それでも私は書くことに決めた。」
突然、恋人が脳梗塞で倒れて何が何だかさっぱりわからなくなってしまってからの日々を、一般女性が写真と文章で淡々と綴った記録。これは、何百万PVの人気ブロガーの日記でもないし、バズったツイートをまとめたわけでもありません。とある普通の人生における、普通じゃない日々の記録。
【本文より】
会社の飲み会で「そういえば、星野さんって彼氏いるんだっけ?」と聞かれた。何の悪意もない言葉なのに心が痛み、怯んでしまう。有佳子がちらりとこっちを見たような気がした。「あ……います」と言うと、先輩は目を輝かせながら「何をしてる人?」と聞く。何をしている人。それが彼の年齢や性格、どんな仕事をしているのかを尋ねた質問であることはわかっていた。でも、私は答えることが出来ず黙ってしまった。ユウキさんが今どういう状態なのかわからない。どこにいるのか。意識はあるのか。私のことを覚えているのだろうか。私は何も知らなかった。先輩の質問に答えなきゃ、と慌てて作り笑いを浮かべる。これ以上この会話が続かないように祈りながら、当たり障りのない返答をした。飲み会が終わった帰り道、これからは「彼氏はいない」と言おうと決めた。渋谷の歩道橋でたくさんのカップルとすれ違った。なんだか本当にひとりぼっちなったような気持ちになった。

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