1988年の結成以降、日本国内外のパンク/エモーショナル/オルタナティブ・シーンに影響を与えつづけているロックバンド、イースタンユース。伝説的とも言える昨年の野音公演大成功を経て放つ3年ぶり18枚目のフルアルバム。 (C)RS
JMD(2020/07/04)
88年の結成以降、日本国内外のパンク/エモーショナル/オルタナティブ・シーンに影響を与えつづけているロックバンド、イースタンユース。
伝説的とも言える昨年の野音公演大成功を経て放つ3年ぶり18枚目のフルアルバム。
吉野寿(エレキギター・ボイス)を中心に1988年に札幌で結成された3人組パンク・ロックバンドeastern youth。
エモーショナルなハードコア・サウンドに日本語の歌詞を載せた独特なスタイルで、多くのバンドに影響を与え、その影響を公言するバンドも多数。
昨年の秋には、17年ぶりに日比谷野音ワンマンを開催。完全ソールドアウトの超満員の中、31年の活動から新旧の楽曲を網羅、イースタンのライブ史上最多曲数・最長時間となった、この歴史的ライブを収録した『eastern youth 日比谷野外大音楽堂公演DVD 2019.9.28』が今年の3月に発売、さらには全国6か所にて劇場公開が決まるほどとなった。
自身のライブシリーズ「極東最前線」には盟友・NUMBER GIRLのゲスト出演が決まるなど、さらなる精力的な活動に向かい始めた頃に迎えた自粛期間ではあったが、3年ぶり18枚目のフルアルバムのリリースが決定。
所謂、イースタン節全開のフルアルバム。
タイトルは「2020」
―青白い鉄塔が今日も光っている
単純な感情で今日も笑っている
―歩き出してしまえば もう行くしかねえんだ
朝日に夜を 縫い付けて
―俺たちの現実は今日も続いている
発売・販売元 提供資料(2020/07/01)
冒頭の"今日も続いてゆく" から、あのブレないエモーショナル・ハードコアな音像と吉野寿の歯を食いしばるようなナニクソ絶唱が轟く。何の変哲もないイントロを経てドンと過熱する"カゲロウノマチ"なども骨っぽくて最高な18作目。イースタンはいつも市民の目線で微かな希望を叫んでいて、もうちょい踏ん張ってみるかという気にさせてくれるからすごい。人権とか、2020年の現状を射抜いている点も痺れます。
bounce (C)田山雄士
タワーレコード(vol.441(2020年8月25日発行号)掲載)
人々は熱の冷めるのを待って、焼トタンの家を造り、背負って逃げた荷物をじゃがいもやとうもろこしに替え、一部を土に埋め、畑としていった。僕ら子供は、数十キロも見渡せる遊び場を持った。
二つ程年上のKを中心に僕ら数人の仲間は、子犬のように遊んだ。Kが中心になるのは、年上のためだけではなく機智に富んでいたためだ。》(司修「炎」より 『風船乗りの夢』所収)
という昭和20年の場景を描いた文章を読む2020年。現実が非現実に変り、非現実が現実に変る世でも、変らないのは生きて、呼吸し、感受・応答し続けている自分、という後にも先にも一つだけ、スペアなしの存在。いずれ死ぬ鳥、でも、束の間不死鳥を抱きかかえ、熱風に巻かれ、炎とともに炎の中を生きる。
だから、とにかく、焼野原で遊べ。子犬のように遊べ。堕地獄の餓鬼どものように遊べ。餓鬼どもの遊び場に、「2020」を轟かせろ。
P.S.
やっと三人の力が対等にぶつかり合う3ピースバンドeastern youthらしい姿に戻ってファンとして嬉しいです。それから、Oi&スキンヘッズ的唱法・メロディがちらっと出てて、おやっ……