ボブ・ディラン 8年振りのオリジナル・ニュー・アルバム 『ラフ&ロウディ・ウェイズ』
初の全米シングル・チャート1位を記録した約17分の大作「最も卑劣な殺人」(Murder Most Foul)他、ノーベル文学賞受賞後初となる新曲全10曲を収録。
ボブ・ディランのオリジナル楽曲によるニュー・アルバムとしては2012年発表の『テンペスト』以来8年振り、通算39作目となる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』。近年のスタジオ・アルバムとしては、主にフランク・シナトラがレパートリーとしていたグレイト・アメリカン・ソングブックと呼ぶに相応しいカバー作が、2015年『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』、2016年『フォールン・エンジェルズ』、2017年『トリプリケート』と3作続いていた。『ラフ&ロウディ・ウェイズ』はスタジオ・アルバムとして39作目となり、全10曲を収録。
新型コロナウイルスが世界で感染拡大する中の2020年3月27日、「皆さん、どうか安全に、油断せず、神とともにあらんことを。」とのコメントと共に発表した17分近くに及ぶ新曲「最も卑劣な殺人」」(Murder Most Foul)はビルボード・シングル・チャートで初の1位を獲得し、シングル史上で最長時間となる全米1位の曲の記録に輝いた。
アルバム・タイトルとなる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』から想起されるのは、1960年にRCAが発表したジミー・ロジャースのアルバム『My Rough And Rowdy Ways』。デビュー前からジミー・ロジャースの歌をカバーしていたディランは、自らが設立したレーベルのエジプシャン・レコードから1997年にジミー・ロジャースの生誕100周年を記念したコンピレーションを発売。このディラン自身が大きく関わったトリビュート作には、ボノ、ヴァン・モリソン、ジェリー・ガルシアらによるカバー曲がまとめられ、アメリカ大衆音楽の元祖的存在のジミーを称える内容となった。"カントリーの父"と呼ばれる事が多かったものの、その枠を大きく飛び越え柔軟性をもって音楽を作り続け、アメリカン・ポップスの先駆者となったジミーへの思いが満ちたアルバム・タイトルである。
全10曲となる『ラフ&ロウディ・ウェイズ』は、2016年にソングライターとして唯一のノーベル文学賞受賞者になって以来、新曲を集めたアルバムとしては初めてになる。スウェーデン・アカデミーはその授与の理由を「偉大なるアメリカのソング・トラディションにおける、新たな詩的表現を作り上げたこと」だと挙げている。
過去23年間でディランがリリースしたスタジオ・アルバムは7枚。その間には、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞に輝いた2001年映画『ワンダー・ボーイズ』の主題歌「シングス・ハヴ・チェンジド」があった他、世界各国でベストセラーとなり、2004年 ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー・リストに19週間ランクインし、先日ローリング・ストーン誌によって「歴代最も優れたロック評伝」に選出された『ボブ・ディラン自伝』もあった。2013年度レジオンドヌール勲章オフィシエの受勲者であり、2000年にはスウェーデンのポーラー音楽賞、スコットランドのセント・アンドリューズ大学の博士号を始め、数々を授与している。ボブ・ディランのこれまで世界でのセールスは1億2,500万枚以上に達している。
発売・販売元 提供資料(2020/05/22)
一大プロジェクトだったスタンダード・カヴァー3作を経てリリースされた、8年ぶりのオリジナル楽曲によるアルバム。それらカヴァー作の影響が明らかに感じられる内容で引き続きアメリカーナ志向は色濃く、多くの曲がノスタルジックでメランコリックな雰囲気。2020年という時代の空気を反映してかどことなくシリアスだが、優しく深みのある歌声に癒されていく……。どの時代のディランとも色の違う新境地の傑作だ。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.440(2020年7月25日発行号)掲載)
第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの暗殺事件を取り上げた楽曲。このケネディ暗殺の瞬間を映し出さたフィルムは、僕自身も見たことがあり、実にリアルな映像に幼いながら銃弾に対する恐怖と暗殺という残虐な行為に怒りを覚えた。この事件を振り返りながら、アメリカ🇺🇸のその時代、各時代を彩った歌手とその曲を歌詞に取り込み展開する世界観は、今のアメリカいや全世界を見つめ直して生きようという強いメッセージを感じた。らしさを失わないいつまでも色褪せないアルバムだ。
ザゾンより