今、本当は何が起こっているのか?デジタル・リリースがデフォルトの世代を核にしながら、あえて<パッケージ版>を主眼にした2020s 新世代コンピレーション。
シティーポップもテクノもアンビエントもない、JAPANESE INDEPENDENT MUSIC 最前線12曲が放つクリエイティヴィティが、この重く暗いカオスの世の先にあるポスト・パンデミックの未来を照らす!
いつか名付けられるかもしれない日本の2020s 音楽シーンの<今>。ハイプ無しプロデュース現場の空気のパッケージを試みる新コンピレーション、『S.D.S』。17人のクリエイターと3人の裏方達の手になるセルフ・プロデュース作品12曲を収録し、うち8組がフィジカル・リリース経験なし、VINYL 版は12人が未経験という、サブスク/ DL/ Youtube で音楽体験をしてきた世代の作品集となる。
『S.D.S』全作品はベッドルーム・ポップというタームを与える必要もないD.I.Y 宅録がベースで、トラップ、エレクトロニック・ミュージック、インディーポップ、ベースミュージック、EDM ~ ADM といった音楽言語がナチュラルに交錯。ヒップホップ的表現だが現行ヒップホップのメインストリームから立ち位置がズレたむしろエレクトロニック・ミュージック寄りのチューン、またはその反対、更に説明困難な異形作もあり、評論家を煩わせるような作品だらけだが、このアマルガムこそがリアリティの核心だ。この現象は『S.D.S』のクリエイター達に共通しており、だからこそ誰が今どんな音楽をやっているか個々に耳を傾けることが重要となる。
何よりもセンスと工夫とアイデアと心意気に賭ける、日本の現行アンダーグラウンド・シーンにあるクリエイティヴィティの空気、キレたひたむきさ、ふてぶてしい大胆さ、そんな見えない<熱さ>が裏に潜んだコンピレーション。家に篭って聞こう!そしていつかライブ現場で会おう!
発売・販売元 提供資料(2020/04/14)
資料によると〈デジタル・リリースがデフォルトの世代を核にしながら、あえてパッケージ版を主眼にした2020s新世代コンピレーション〉。出し方や広げ方の話題性を重視する層がターゲットなのかもしれないが音自体はフラットで聴きやすく、Lil Soft Tennisや玉名ラーメン、valkneeのような人気者から未知の才人までが多彩な楽曲を提供している。人懐っこさとスノッブの同居したポップな聴き心地がこの時代の空気まんまでおもしろい。
bounce (C)狛犬
タワーレコード(vol.439(2020年6月25日発行号)掲載)