アリゾナ出身で現在はL.Aを拠点に活動する若き気鋭のシンガー・ソングライター、Kiana Lede待望の1stソロアルバム。
2019年発売の前EPでは、ミーゴスのオフセットと絡むなど、メインストリームど真ん中な内容だったが、本作は最近再評価著しい90年代~00年代初頭のR&B黄金期の雰囲気が濃厚で、その時代のリアルタイム世代なら堪らない1枚だろう。それは、6lackとのデュエットM-6、アウトキャスト "So Fresh, So Clean"を引用したM-3に顕著。中でもJOEやK-Ci & JoJoの曲をキュートな女性シンガーが歌ったらと妄想させられるM-1などは秒殺でやられマス。いっぽうで、エラ・メイやH.E.R.らに通じる個の強さも秘めている辺りは、しっかり"今"のシーンとも呼応しており、本作が単なる懐古趣味でないのは明らか。今後がとても楽しみな逸材だ。
タワーレコード(2020/04/28)
8年前にRCAからキアナ・ブラウン名義でデビューしたLA拠点のシンガー/女優が、2019年のヒット"Ex"を含むEPに続いて発表した初アルバム。メイン・プロデュースはライスンピーズの面々で、アリ・レノックス、ラッキー・デイ、ブラックら当代の人気者との共演を含むミッド~スロウを軸に、小回りの利いたハイトーン・ヴォイスとアンニュイな歌声を操りながら華やかさとクールネスを放っていく。アコースティックな音色も交えたサウンドは全体的にダウナーだが、アウトキャスト"So Fresh, So Clean" を引用した"Mad At Me"やマネーバッグ・ヨーとビアがラップで参加したエムトゥーメイ"Juicy Fruit"使いのミッド・グルーヴ"Labels"を挿んで親しみを抱かせる展開も絶妙だ。現行R&Bのムードを凝縮した逸品。
bounce (C)林剛
タワーレコード(vol.438(2020年4月25日発行号)掲載)