エモクトロなクール・ビューティ―、Lynn Gunnがフロントを張る、マサチューセッツ州ローウェル出身のロック・バンド、PVRIS(パリス)。メタルコアの名門、RISE RECORDSが契約した初の女性ヴォーカルのバンドとしても注目された彼らだが、ここ日本でもその"SKRILLEXミーツPARAMORE"と評されるサウンドと、パワフルなライヴで着実にファンを増やしてきた。そのPVRISがワーナー・レコーズへ移籍!移籍第一弾となるニュー・アルバム『USE ME』を発表する。
待望の新作『USE ME』は、PVRISにとって新たな幕開けを飾る、重要作になるだろう。それは単にレーベル移籍第一弾であるというだけでない。ソングライターであり、マルティインストゥルメンタリストでもあり、プロデュースも手掛けるLynnが、バンドのリーダー、そしてクリエイティヴ面を一人で担うことを宣言する作品でもあるからだ。これまでも、PVRISのヴィジョンや見せ方、ソングライティングやプロダクションの大部分、マーチャンダイズやミュージック・ビデオのコンセプトなどバンドのありとあらゆる面で中心的役割を果たしてきた彼女だったが、それを表に出すようなことはしなかったという。 「バンドとしてのPVRISを支えなきゃいけないって、自分にずっと言い聞かせてきた」そうLynnは告白する。「特にロール・モデルはいなかった。"バンド文化"で育った私にとって、グループこそが、個々のパーツであるメンバーよりも大事であって、自分が全部やったとしても、それを表に出すべきじゃないって思っていた。女性一人が全部担うというテンプレートも、ロール・モデルもいなかった。私は、みんなを満足させたくて、自分たちがこうあるべきだというイメージを支えていた。でも、成長していくうちに、もうそうする必要は無いってことを学んだの。自分やっていることを表に出していこうとようやく思えるようになった。バンドのメンバーも、それを全面的にサポートしてくれたし、励ましてもくれた。PVRISはユニットだし、今でもチームよ、でもバンドのヴィジョンと音楽はずっと、私の中から生まれたものだった。それを今、表に出しただけ。ロール・モデルがどうあるべきか、自分のヴィジョンを実現しているだけなの」(1/2)
発売・販売元 提供資料(2020/03/27)
2019年のほとんどをソングライティングとレコーディングで費やしていたというLynn。その制作過程で彼女のコラボレートしたのが、JT Dalyだった。Lynnが曲やビートを作り、ギターやドラム、ベースを演奏し、ヴォーカルを入れている傍らで、彼はスタジオで彼女の多才さとヴィジョンを増幅させていった。 「彼はアグレッシヴな部分を引き出すことができるの」Lynnは微笑みながら語る。「憤りやプレッシャーがどんどん溜まっていっても、彼がそれらを音楽に上手く昇華していく手助けをしてくれた。取り掛かったのは、キャッチーな曲にインパクトのあるプロダクションを被せようとすること。PVRISの為の新たなレンズを、一緒に見出した感じなのよ」
その新たなレンズを得たPVRISの新たなサウンドが披露されたのは、発表後数か月で一気に1千万回以上の総ストリーミング再生を記録した5曲入りEP「Hallucinations」だ。力強いヴォーカルにダークなシンセが絡むEPのタイトル・トラックは、今回のアルバム『USE ME』にも収録されている。この他、アルバムにはNate Cyphert(Bebe Rexha、Florida Georgia Line)とTommy English(Kacey Musgraves)と共作した、ゆがんだリズムとシンセが反響する「Dead Weight」や、ディストーションの効いたリフがエレクトロ・サウンドに切り込んでいくなか、Lynnのヴォーカルが力強く響く「Good To Be Alive」などが収録されている。 「これを聴いたとき、私がどんなところにいて、どういったものを乗り越えてきたか、少しでもわかってもらえたらと思う。タフな状況を乗り越えてきたから、私は今まで以上に強くなれた――これまでも強くあろうとしたけど、ようやくそれを受け入れることができたの。アルバムから何かを感じることができるのなら、パワーを感じてほしいと思うわ」
PVRISを背負い、その中心に立つ覚悟を決めたLynnが奏でるパワフルでエモーショナル、そしてエレクトロな新章――それが本作『USE ME』なのだ!(2/2)
発売・販売元 提供資料(2020/03/27)
ロングセラーとなったファースト・アルバム『White Noise』で打ち出したバンド・サウンドからの脱皮を、パリス史上最大とも言える跳躍と共に成し遂げたサード・アルバム。時折ギターの轟音が鳴り響くものの、彼女たちが持ち前のダークなオブセッションと共に、ここで打ち出しているのは、R&Bの影響が色濃いエレポップ・サウンド。メタルコアという出自を切り捨てるバンドの挑戦を心して受け止めたい。
bounce (C)山口智男
タワーレコード(vol.442(2020年9月25日発行号)掲載)