ACTから注目のピアニスト、デビュー!シューマンの楽曲を研究し、オリジナルな世界に昇華した作品 『子供の情景』から4曲『子供のためのアルバム』から3曲
クラシック音楽とジャズ/即興音楽の創造的な融合があります
1995年ザクセン州プラウエン生まれ、現在ベルリンで活躍するピアニスト、ヨハンナ・ズマーのデビュー・アルバム。クラシック音楽を基礎に、音楽学校に通い、ジャズ・アンサンブルに参加したというズマー。ドレスデンの高等音楽学校に学び、トップレベルの若い演奏家が集うドイツのユース・ジャズ・オーケストラ「BuJazzO」に2年間参加。そして、ドレスデンで、レジェンド・アーティスト、Gunter "Baby" Sommerと出会ったことで、道が開けていきます。最初は、ポップ・ミュージックからクラシック音楽に、どうアプローチしていったらいいか見出すのは非常に難しかったということながら、まず挑戦してみることが大切と気付いたというズマー。数々の楽曲を公でも演奏していきます。
そして、行きついたのが、シューマンの楽曲と、ジャズ的な即興音楽の融合を試みたこの作品。デビュー作にして、ここには、並々ならぬ取り組みの成果をみせています。
『子供の情景』から4曲、『子供のためのアルバム』から3曲。これらの楽曲は、シューマンが同じザクセン州のツヴィッカウ出身であったため、幼少のころから馴染みの楽曲で、魅了されてきたとのこと。もちろん、「自分の表現にするのは決してシンプルではなかった」といいます。しかし、作品制作にあたって、楽曲をすべてのキーで演奏し、タイム感を様々に変えるなどして、アイデアを膨らませ、解釈を反映させた小さい演奏パーツも制作。長い時間をかけてアレンジと、表現方法を試みた演奏には、一つのオリジナルな世界がつくられています。
シューマンがつくったロマンティックなメロディ・ラインにジャズ的なハーモニーをつけながら、色彩感を変化させるオープニングの美しいイントロのセンスとソロの即興演奏。一方、グルーヴ感を強く打ち出した左手のラインが斬新な世界観をつくりだすKnecht Ruprecht(サンタクロース)から、一瞬の間を境にして、静謐にも豊かなハーモニーをもって、描き上げていくTraumerei(トロイメライ)への展開など秀逸です。またラストには、シューマンを敬愛するフレッド・ハーシュの詩的な表現も感じさせられます。
テクニックが申し分ないのは、流麗なトリルを聴いても納得。作品の奥の世界にふれあい、解釈したからこそ生まれた独創性/創造性を感じる作品。今後が楽しみな存在です。
発売・販売元 提供資料(2020/03/12)
ヨハンナ・ズマーの〈ACT〉初登場盤、自身二枚目はシューマンのインタープリテーション。クラシックのジャズへの翻訳としては最高にいい!シューマンへの目線もジャズへの着地点も素直でいい! 前作のトリオは、彼女のジャズへのストレートな愛が溢れ過ぎて出来は平均点。このソロ・アルバムは、シューマンをよく聴き、よく弾いた人にしかできないジャズが溢れている。誰もが聴いたことのある子供の情景のあの一曲目がこのアルバムを締めくくるのだけれど、ドイツロマン派の響きがキース・ジャレット風に馴染んでいく。ある意味妥当。ピアノに近づき過ぎた? マイクのドライな響きも独特。生で聴いてみたい。
intoxicate (C)高見一樹
タワーレコード(vol.145(2020年4月20日発行号)掲載)