トルコ・ポップスの女帝が提供した楽曲のデモ・ヴァージョンを再構築!
"トルコ・ポップスの女帝"として70年代から現在まで君臨するシンガー・ソングライターのセゼン・アクス。その絶大な影響力は、いまも数多くのフォロワーを生んでいることからも窺い知ることができます。そんなアクスの新作をサンビーニャ・インポートとして紹介することにしました。
自身のソロ活動のほか、多くの歌手への楽曲提供、さらには若手の育成まで、実に様々な顔を見せてくれるセゼン・アクスは1954年にイズミルで生まれ、20歳頃からシンガー・ソングライターとして活動を開始。最初は鳴かず飛ばずでしたが、1976年頃から徐々に人気が出るようになり、78年のセカンド・アルバム『セルチェ』(AYR-612)の大ヒットで一気にスターダムを駆け上がりました。ちなみにこの"セルチェ"というのはトルコ語で"スズメ"を意味する言葉で、彼女のニックネイムでもあります。その後はまさにシーンの王道を堂々と歩む活躍を見せるようになる一方、本国だけでなく諸外国でもその名が知られるようになり、海外の有名アーティストとのコラボレイションなども多数残すようになりました。またタルカンをはじめ、セルタブ、アシュクン・ヌル・イェンギなどを発掘・育成をしたこともその大きな功績のひとつです。そういった意味でも彼女なしでは現在のトルコ・ポップス・シーンの繁栄はあり得なかったと言える訳です。
そんな彼女が2018年にリリースした現時点での新作が本作で、これは彼女が他のアーティストに提供した曲のデモ・ヴァージョンを収録したという、これまでに無かった企画の作品。1995年から2015年までの20年間に、シベル・ジャンやエブル・ヤシャール、レンギンといった人気女性歌手らに提供した曲のデモ・ヴァージョンのほか、タルカンの2017年作『10』(ライス AYR-5453)のために提供した'Her Sey Fani'なども収録。もちろん多くは提供歌手に渡したデモ音源そのものではなく、伴奏などは本作のために少しドレスアップしていますが、ここでのヴォーカルはデモのものをそのまま使用しているとのこと。また一部にはデモ音源をそのままOKテイクとしたものも含まれているそうです。なので通常のソロ作品で聞かせる'本域の歌唱'ではなく、他人が歌うことを想定た薄味なヴォーカルが印象的で、ソングライター/クリエイターとしての面が大きくクローズアップされた内容に仕上がっています。
ロックやポップスだけでなく伝統系の曲まで幅広くクリエイトしてきたアスクの魅力がたっぷりと詰まった作品。ファンは必聴の1枚と言えるでしょう。
●日本語による説明をつけた帯付き。日本語解説は同封しておりません。
発売・販売元 提供資料(2020/03/12)