オーボエ奏者、作曲家であり、指揮者――3つの顔を持つ驚愕のマルチ・ミュージシャン、ハインツ・ホリガーが紡ぐ、前代未聞のシューベルト・チクルス・第3弾。
世界的なオーボエ奏者であり、独自の語法を持つ作曲家、そして聞き古された作品から新たな美を見出すことができる卓越した指揮者…ここ数年、マルチ・ミュージシャンとしての多彩な活動がクローズアップされているハインツ・ホリガー。昨年80歳を迎え、秋にはその音楽活動の総決算ともいうべき「80歳記念コンサート」を日本で開催し、4つのオーケストラで自作とシューベルトやシューマンを指揮したのみならず、オーボエ奏者として自作や室内楽に参加し、音楽家としての空前の活躍ぶりを披露したことは記憶に新しいところです。
当アルバムは、2019年5月のホリガーの80歳の誕生日を寿ぐべく、2018年の「ザ・グレイト」から開始されたバーゼル室内管弦楽団とのシューベルトの交響曲全集録音の第3弾です。これまでの2枚のアルバムは、FONOFORUM誌、GRAMOPHONE誌で演奏・録音ともに最高得点を獲得し絶賛されていますし、昨年国内盤として発売された「ザ・グレイト」は「レコード芸術」特選盤に選定されました。
ホリガーは、シューベルトの交響曲の特質について、「マーラーと同じで、可愛らしい響きや、ウィーンの酒場でワインを飲み明かすような世俗性が、一瞬にして恐ろしい死の淵をのぞかせる音楽。明るい色彩感は常に暗闇や深淵と隣り合っている」と指摘し、楽器によってピリオド楽器を使用することで「響きの透明感や陰影」を獲得できることを強調しています。
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ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2020/02/14)
交響曲第4番は、当時19歳のシューベルトが補助教員に就いている時期の作品であり、ハ短調という調性や「悲劇的」という副題からして、作曲家としての自覚に目覚め、ベートーヴェンを強く意識していたのではないかとされる作品。第6番は、当時のウィーンを席巻していたロッシーニをはじめとするイタリア音楽の影響を受けた怪作。どちらも「ハ」という調性ながら、短調長調の互いに相反する性質を、ホリガーは色彩的に描き出しています。
アントニーニとのベートーヴェンやハイドンでその充実ぶりを存分に披露してきたスイスの名チェンバー・オーケストラ、バーゼル室内管弦楽団も、あらゆるパートに命がこもり、きびきびと躍動感あふれる演奏でホリガーの指揮に応えています。バロック音楽ではピリオド楽器との持ち替えもやってしまうほどあらゆる時代の演奏様式に通じているバーゼル室内管ならではで、弦楽パートはクラシカル・ボウとガット弦を使用し、ヴァイオリンを両翼に分ける対抗配置、ホルン、トランペット、ティンパニにはピリオド楽器を導入し、当時の管弦楽編成や演奏法を採り入れ、斬新な響きのバランスや和声の美しさを際出たせています。録音セッションはベルン郊外の由緒あるホテル「ラントガストホフ・リーエン」内にあるホールで収録されており、明晰かつ木質の温かみのあるサウンドが、ホリガーとバーゼル室内管の名演を伝えてくれます。
ヤーコブス&Bロック管(ペンタトーン)、ガーディナー&オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク(Soli dei Gloria)、ヘレヴェッヘ&アントワープ響(ペンタトーン→Phi)、マナコルダ&カンマーアカデミー・ポツダム(ソニー・クラシカル)など、ピリオド楽器もしくはHIPスタイルによる個性あふれるシューベルトの交響曲の名演盤が以前にも増して目白押しの昨今ですが、ホリガーとバーゼル室内管による当シリーズはその中でも一際大きな存在感を示しているといえるでしょう
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ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2020/02/14)