これほどまでに感情豊かなオテロがあっただろうか!
「現代最高のオテロ」ヨナス・カウフマンが、名匠アントニオ・パッパーノと充実の歌手陣とともに、セッション録音でこそ実現できた、ヴェルディの音楽の完璧な再現。
ヴェルディの最後から2番目のオペラ「オテロ」の主役は、表現力の豊かさ、声の強靭さとバリトンからテノールまでの声域の広さを要求されるヴェルディ・オペラのテノールの中でも最大の難役であるだけでなく、「あらゆるオペラのテノール役の中のエヴェレスト」とさえ称される最難役です。この難役を歌いこなせるテノールは数えるほどしかいませんが、ヨナス・カウフマンはその一人。
2017年、英国ロイヤル・オペラでのキース・ウォーナー新演出によるプロダクションでロール・デビューを果たし、満場の聴衆の圧倒的な喝采を浴び、「カウフマンの、年を重ねることに自信をもった歌声。オテロ歌いとして有名だったラモン・ヴィナイ、ジョン・ヴィッカーズを呼び起こすものだった」(ニューヨーク・タイムズ)、「彼は間違いなく、ドミンゴ以来、この役の最も素晴らしい声と肉体的なカリスマ歌手」(デイリー・メール)、「ヨナス・カウフマンは『オテロ歌い』として歴史に名を刻んだ」(OperaWire)など、各誌論評で絶賛されたのでした(その歴史的上演の映像もブルーレイおよびDVDとしてソニー・クラシカルから発売中)。
カウフマンにとって「オテロ」は、自らの歌手人生で勝ち得た輝かしい栄光のひとつといっても過言ではありません。2001年、シカゴ・リリック・オペラでの「オテロ」上演にカッシオ役として参加、2013年発売の「ヴェルディ・アルバム」で初めて「オテロ」から2曲のアリアをレコーディングし、そして2017年のロイヤル・オペラでの大成功と、自らの声と表現力の成熟を根気強く待って新たな役に挑戦し続けてきたカウフマンの一つの頂点でもあるのです。
カウフマンは、最高の条件で「オテロ」の録音を実現するために、2019年夏、ローマで約2週間にわたるセッションが組まれ、カウフマンと舞台で何度も共演し録音も重ねてきた巨匠アントニオ・パッパーノとその手兵サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団をむかえ、ヴェルディの難曲に取り組みました。共演者も、イアーゴに表現力豊かなヴェテランのカルロス・アルバレス、デズデモナにモーツァルト歌手として世界的な人気を獲得する若手のリリック・ソプラノ、フェデリカ・ロンバルディを配すなど、完璧な布陣。カウフマンの雄弁なフレージングとダイナミクス、息の長い抒情的なカンティレーナからドラマティックなスピントにいたるまで、オペラ歌手としての彼の驚異的に多彩な技巧と抜群の表現力を味わうことができるのみならず、パッパーノの指揮のもと、最晩年のヴェルディが持てる作曲術を注ぎ込んだ類まれな傑作の姿が実際の音として再現されています。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2020/02/21)
This 2020 studio recording of Verdis Otello was preceded by live performances that generated a great deal of buzz. Not to worry: the studio setting did not diminish in the least the energy of tenor Jonas Kaufmann in the lead role, and the result is a highly exciting Otello. In any performance, but especially in one like this, what one notices about the opera is just how much of it is devoted to the title role, something of a marathon that requires the singer to maintain precision over long stretches that sometimes hang around high C territory. Blazing his way through was a specialty of Placido Domingo, Kaufmann is in his league here, even if just a trifle lower in terms of dramatic and vocal power. The number of shades in Kaufmanns voice is impressive, and his approach to a scene will bring listeners back for multiple rehearings. Sample the speechlike modulations of tone in Roderigo, ebben, che pensi? from Act One, just for starters. Kaufmann is a spectacular technician who never forgets what he is singing about, and when Shakespeare is providing the story, thats a necessity, no matter how rare it may be. The other singers are fine, and Federica Lombardi as Desdemona is definitely a singer to watch. The expert work of the Orchestra dellAccademia Nazionale di Santa Cecilia is another draw, but ultimately, Otello is about its lead, and this one is not to be missed.
Rovi