乾いたシンセが紡ぎだす独特の快感。サントラ史の新たな1ページを開いた歴史的傑作。

『恐怖の報酬』(1977)
サウンドトラック

音楽 タンジェリン・ドリーム
監督 ウィリアム・フリードキン
主演 ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメール
フランシスコ・ラバル、アミドゥ

アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの名作をリメイク、『フレンチ・コネクション』『エクソシスト』と衝撃作を次々世に問うたフリードキン監督が巨額でハリウッド・リメイクした異色サスペンス。遙か離れた山中の油田火災を消し止めるため、あまりにも危険な山道をニトログリセリンを積んだトラックを走らせる、賞金目当ての男たち4人。本作の異色性のひとつはサウンドトラックで、シンセサイザー・ユニットのタンジェリン・ドリームが担当することに。淡々とサスペンスをエレクトロで描写し、後のジョン・カーペンターのシンセ・サントラの快感に似た、独特の雰囲気をサントラ・シーンに持ち込むことになる。のちに、タンジェリン・ドリームが映画音楽界でも一目置かれるコンポーザーとなるのはご存知の通り。サントラの歴史を変えた一枚。 (C)馬場敏裕