"孤高のラップ・ゴッド"エミネムが突如発表した通算11作目のオリジナル・アルバム、待望のCDリリース!2018年8月、同じく突然のサプライズ・リリースとして発表した『カミカゼ』以来、1年半ぶり通算11作目となるエミネムのアルバム『Music To Be Murdered By』は、20世紀を代表する映画監督アルフレッド・ヒッチコックが作曲家ジェフ・アレクサンダーと共に1958年に発売した同タイトルのアルバム『Music to be Murdered By』にインスパイアされた作品。 (C)RS
JMD(2020/01/23)
要所に挿入されるヒッチコックの語りも統一感に寄与した新作は、ジュース・ワールドとの"Godzilla"などデヴィッド・ドーマンによる今風パートも機能しつつ、ルイス・レストとの共作やロイス・ダ・5'9"が客演/制作含めて関わった4曲など身内とのトラックはオーセンティックな印象が強め。なかでもMr ポーター製の"Yah Yah"はバスタ・ライムズの声をフックにしたラフ&ロウな逸曲だ。総監督のドクター・ドレーも久々に数曲の実制作にタッチし、"Never Love Again"などで往時の渋みを醸造。初顔合わせのリッキー・ラックスがセラーニ"No Games"をベタ敷きした"Farewell"も良い。アスリート化した近作を好む人はさておき、今回はサウンド的な面白味の点でも新旧の受け手にリーチする快作だ。この10年でベスト。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.436(2020年2月25日発行号)掲載)