これまでのアルバム・セールスは世界で1億枚以上、5度のグラミー受賞、ロックンロールの殿堂入りを果たしている2015年、キャリア初の全米No.1アルバム『ビフォア・ディス・ワールド』から5年ぶり、初の全曲スタンダード・カヴァー集!
ジェイムス・テイラーの初期のアルバムのベストを彷彿させるような、彼ならではのヴォーカルとギターが生きた初のアメリカン・スタンダード作品集。テイラーが幼少の頃から親しみ、20世紀にアメリカで最も愛されてきた名曲たちを収録。同じような選曲に取り組んだ人は多々いるが、それらとは異なりピアノではなく、ジェイムスの巧みなアコースティック・ギターをベースにアメリカン・スタンダードを美しくシンプルで、削ぎ落としたアレンジにより演奏しているのがとても魅惑的。
グラミー受賞プロデューサーであり長年のジェイムスのコラボレーター、デイヴ・オドネルと名ギタリストジョン・ピザレリ、ジェイムス・テイラーによる共同プロデュース。参加ミュージシャンは古くから親しい熟練のミュージシャンたち。スティーヴ・ガッド (ds)ルイス・コンテ (perc)ジミー・ジョンソン (b)ヴァクター・クラウス (upright-b)ルー・マリーニ (cl, sax)ウォルト・ファウラー (tp, flgh)ラリー・ゴールディングス (melodica, hammond B3)スチュアート・ダンカン (vln)ジェリー・ダグラス (dobro)など超豪華な面々!
本作を象徴するようなレパートリーは、ジェイムスがスウィングするテイクのウォルター・ドナルドンとジョージA.ホワイトニング作でクルーナー、ジーン・オースティンの1928年の大ヒット曲「マイ・ブルー・ヘヴン」、フレデリック・ロウとアラン・ジェイ・ラーナー作によるミュージカル『ブリガドーン』のスコアからの「オールモスト・ライク・ビーイング・イン・ラヴ」、ホーギー・カーマイケル作曲ネッド・ワシントン作詞により1940年にグレン・ミラー・オーケストラがヒットさせた魅惑的なポピュラー曲「ニアネス・オブ・ユー」(あなたのそばに)、フランク・レッサー作、大ヒット・ブロードウェイ・ミュージカル『ガイズ&ドールズ』から「シット・ダウン、ユーアー・ロッキン・ザ・ボート」、リチャード・ロジャーズとオスカー・ハマースタイン2世によるミュージカル『南太平洋』から、激しい反人種差別主義の「ユーヴ・ガット・トゥ・ビー・ケアフリー・トウト」、そしてジェイムスの素晴らしいリーディングを実感できるビリー・ホリデイ/アーサー・ハーツォグ Jr.のクラシック「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」など。
音楽家の家庭で育ったジェイムスは、こういった初期のソングライターたちの持つ絶妙なメロディ、完璧なフレージング、簡潔なストーリーテリングに恋をし、それを吸収し、数年後から始まった彼のポピュラー音楽の仕事に不可欠な資質となったのだ。本作『アメリカン・スタンダード』はジェイムス・テイラーをとても特別な存在だと改めて思いださせてくれる作品で、彼の持つ最高の技術を捧げ、アメリカの歌が永遠に持つパワーへの感謝が詰まっている。
発売・販売元 提供資料(2020/01/24)
ジェイムス・テイラーの5年振りのアルバムは、彼が幼い頃から慣れ親しんだアメリカン・スタンダートに取り組んだ作品となった。アルバム全体の音の骨格は、ジェイムス・テイラーと本作のプロデュサーとしても名を連ねるギタリストのジョン・ピザレリで制作され、アコースティックギターを中心にアレンジされた極上の音に仕上がった。キャリア50年に裏付けられた彼の温かみのあるヴォーカルは、誰をも抱擁する力を持っており、多くのアーティストがアメリカン・スタンダートを取り上げた作品をリリースしているが、本作は間違いなくその名盤の1枚と成る作品である。
intoxicate (C)水谷允久
タワーレコード(vol.145(2020年4月20日発行号)掲載)
こういうのが聴きたかった!と思わず声が出てしまった、JTのポピュラー・スタンダード集。洗練されたコードワークによって定番の味がグッとオシャレ度を増し、老舗ならではの独自製法がより際立つというか、彼ならではの魅力が抜群に引き立つ作品となった。弟のリヴも十八番とする"Never Never Land"などホッコリさせられる名演がズラリ。ジョン・ピザレリやジェリー・ダグラスといった名手のプレイも温かい彩りを添えている。
bounce (C)桑原シロー
タワーレコード(vol.436(2020年2月25日発行号)掲載)