鬼才トランペッターが、ブルキナ・ファソの伝統音楽集団とコラボした名作が遂に復活! (C)RS
JMD(2020/01/31)
鬼才トランぺッターがブルキナ・ファソの伝統音楽集団とコラボした名作が遂に復刻!
現在のワールド・ミュージック・シーンのトップを走るドイツのレーベル"Glitterbeat"。そのサブ・レーベルで、よりマニアック度の強い作品を紹介する"tak:til"より、注目の復刻作品が登場します。80年代に発表したアンビエント・ミュージックの名作2作を、これまでGlitterbeat/tak:tilから再発してきた鬼才トランぺッター、ジョン・ハッセルが、今度はブルキナ・ファソの伝統音楽集団ファラフィーナとの連名で発表した1988年作を、リマスター再発することになりました。
アメリカ人トランぺッター、ジョン・ハッセルは1937年メンフィス生まれ。シュトックハウゼンに感化されて現代音楽を学び、テリー・ライリーやラ・モンテ・ヤングと一緒にミニマリズムに取り組んできました。70年代以降は世界中の民族音楽の分野にもアプローチを続けていた彼が、当時アンビエントというコンセプトを生み出しポピュラー・ミュージックの概念に変革をもたらしたブライアン・イーノと出会って誕生したのが、二人の連名による『第四世界の鼓動』(INR-889/1980年)でした。ハッセルがエレクトロニクスと世界中のエスニック・スタイルを融合させるコンセプト「第四世界」を掲げたこの作品は、当時日本発売もされており、一気にハッセルの名は広まりました。さらにその1年後には『マラヤの夢語り~第四世界 Vol.2』(INR-7130/1981年)をセルフ・プロデュースでリリース。そこでは東南アジアの伝統音楽を取り入れたアンビエント・サウンドを楽しませ、やはり大きな話題となりました。
その後『マジック・リアリズム』(1983年)、『パワー・スポット』(1986年)などのソロ作品を経て、再びブライアン・イーノをプロデューサーに迎えて1988年に発表したのが、本作『フラッシュ・オヴ・ザ・スピリット』でした。連名されているのはバラフォン奏者/歌手のマハマ・コナテ率いるブルキナ・ファソのファラフィーナで、同時期には"Bolomakote"という単独作品も発表し世界的に注目を集めていたグループです。ここにはアフリカ古来のリズムと(当時の)最先端のテクノロジーが見事に融合され、「第四世界」のコンセプトに沿ったアンビエント・ミュージックを展開。プリミティヴなヴォーカルやアフリカン・ビートをバックに、北インドの古典歌手パンディット・プラン・ナートからインスパイアされたというハッセルの電化トランペットのフレイズが織りなすアンサンブルは、いまも全く色褪せることのない普遍性が感じられます。
ワールドとアンビエントの狭間で揺らめく魅惑のサウンドの数々は、まさしくジョン・ハッセルの傑作と言える内容。是非本作も大プッシュでお願いします。
●日本語解説/帯付き
発売・販売元 提供資料(2020/01/21)
ブライアン・イーノとのコラボレーションで知られ、「第四世界」を標榜した巨匠ジョン・ハッセル。本作は1992年に発表された西アフリカのブルキナファソを代表するグループ、ファラフィナとのコラボレーション、故に当然、アフリカ色の濃い作品になっている。アフロ・パーカッションのトライバルなミニマリズムと微分音を駆使し西洋音階を脱却し浮遊するジョンのトランペット、そして8~90年代のエスノで神秘的なシンセのレイヤーの交感は新たなアンビエントマップを描いた。グローカルなビート×ニューエイジ色の強いアンビエント、それはもう今まさに真価を発揮する音ではないか。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.145(2020年4月20日発行号)掲載)