傑作『レジーナ』から3年。ベッカ・スティーヴンスの進化が止まらず、アーティストとしての本能がさらにクリエイティブなサウンドを求めた最新作。「Wonderbloom」というタイトルは、亜熱帯雨林地域に自生する数年に一度、それも二日程度しか咲かない巨体花「タイタン・アルム(Titan Arum)」にベッカがインスパイアーされたことによる。巨大ゆえの力強さ、開花する時間の短さによる儚さ、強い腐臭etc。さまざまな暗喩を感じ、ここからベッカのパワフルな新しい世界が導き出された。 (C)RS
JMD(2019/12/17)
ベッカ・スティーヴンスというアーティストは、作品をリリースする毎に前作からの期待値を軽く超えるものを生み出してきた。壮大なスケールを打ち出した2017年発表の『Regina』に引き続き、本人ソロ名義でのリリースとなる本作は、よりクリエイティブな側面が強く反映され、プログラミング等のエレクトリックな音像が強調された作品に。曲毎に様々なアーティストが参加し、異なるプロダクションによって、彼女の代名詞である緻密なコーラスワークがより美しく浮き上がる。もう一つの特徴であったアコースティックなテクスチャーは控えめだが、かえって彼女の声の素晴らしさが際立った印象。
intoxicate (C)栗原隆行
タワーレコード(vol.145(2020年4月20日発行号)掲載)