ケヴィン・ヘイズ、スコット・コリー、ビル・スチュワート参加にしてデビュー作(!?)というベルンハルト・ヴィーシンガー、堂々たる傑作!
ウィーンに拠点を置くオーストリアのサックス奏者=ベルンハルト・ヴィーシンガーの堂々たるデビューアルバムにしてジャズファン悶絶の名作が登場しました!
初作にしてケヴィン・ヘイズ、スコット・コリー、ビル・スチュワートが参加しているというこのバンド。豪華過ぎてびっくりです、その時点でもう期待値が勝手に上がってしまいそうですが、全く問題ありません。何故なら内容も抜群に粋でクールなストレートアヘッドジャズだから!非常にスタイリッシュに、滑らかな発音で歌い上げるベルンハルトさんのサックス、それを堅実に支えつつ適度にオカズを入れ込んでいく猛者たちのバンド、もう最高です。本作は19年の2月にニューヨークで録音されたそうですが、それもまた確かにこのメンバーの熱を封じ込めるに相応しいロケーションだったに違いありません。
作曲能力の高さも重要です。7曲を自作曲で占めつつも、3曲目"I Fall In Love Too Easily" なんていうスタンダードのど真ん中と並べても全く遜色ない楽曲には驚くばかりです。対する10曲目"All I Do" は御大スティーヴィー・ワンダーの名曲ですが、スタイリッシュなファンクビートの原曲をジャズバラードで見事に調理しちゃいました。また最後に収録されている"Fellowship" という曲ではケヴィン・ヘイズが歌っている(!)なんていうサプライズも…でもこれがまた渋味と洗練が入り混じっていて良いんですよ。
そして何よりも言いたいのは4曲目"Moment's Notice"。このアルバム名からして恐らく大好きなんでしょうコルトレーン、ということは分かりますが、この楽曲のアレンジが心底素敵です。ハッドバッピングな疾走感が特徴だった原曲に対して、本作では少しBPMを落としてしっとりと歌い上げる曲調へ変化。そうしたらこれがまた素晴らしくて…人によってはコルトレーン自身のテイクよりも断然こっち、なんて人もいるでしょう…。
サックスファンは当然のこと、オーセンティックなジャズもので良い質感のものを探している方にはうってつけ。きっと数年後には名盤として騒がれているであろう本作、是非早めに聴いてみてください!
発売・販売元 提供資料(2019/12/13)