ALTERNATE LEARNING~GAME THEORY~THE LOUD FAMILYといったバンドで活動し、2013年に惜しくも53歳でこの世を去った、凝った音楽性と文学からの影響を色濃く見せる歌詞でファンを魅了してきたシンガー・ソングライター:スコット・ミラー。彼のカルト的な人気を決定づけたとも言える、80年代USインディ・ギター・ポップ・シーンを駆け抜けたバンドが、このGAME THEORYだ。
トッド・ラングレンやビッグ・スターらが持っていた60年代、70年代のパワー・ポップ的要素にポスト・パンクのパワーを融合させた彼らは、1980年代、5枚のアルバムとすうまいのEPをリリースした。この数年間、彼らのオリジナル・アルバムのリマスター&エクスパンデッド・プロジェクトがOmnivoure Recordingsから発表されてきたが、2017年に5作目『2 STEPS FROM THE MIDDLE AGES』のリマスター&エクスパンデッド・エディションのリリースをリリースしたところで一区切りするかと思われていたこのプロジェクトに、新たな一頁が加わった。
1989年~1990年のGAME THEORY最後のラインナップとなる、スコット・ミラー(Vo./ G.)に元The Three O'Clockのマイケル・クエリコ(Michael Querico - B / Dr / Back Vo)、ジョゼフ・ベッカー(Dr. / B)、ギル・レイ(G/Key)は、ツアーを行ったものの、アルバムをリリースすることはなかったのだった。
もし、そのGAME THEORY最後のラインナップでアルバムをリリースしたら、一体どんなサウンドになっていたのだろうか――そんなファンの妄想を掻き立てるようなアルバムがリリースとなる。本作『ACROSS THE BARRIER OF SOUND: POSTSCRIPT』は、その最後のラインナップによるライヴ・レコーディングやホーム&スタジオ・レコーディングを集めたレア・トラック集である。ファン・クラブの会員向けに限定盤としてリリースされた「Treat It Like My Own」以外は全て未発表となるこれらの音源は、運よくそのライヴを観た人以外、耳にしたことがないはずの貴重なものばかり。(中には、後にスコット・ミラーとジョゼフ・ベッカーが結成したTHE LOUD FAMILYのアルバムに別な形で収録されることになる楽曲もあるが)
収録されている楽曲のなかには、スコット・ミラーのオリジナル・ナンバーのほか、彼のポップなソングライティング・センスとアート・ロック風要素の源流が窺える、ブライアン・イーノの「Needle In The Camel's Eye」やThe Nazzの「Forget All About It」のカヴァーなども含まれている。サブタイトルに"あとがき"を意味する"Postscript"が付いているように、この作品はGAME THEORYの歴史本編の最後に付け加えられた一頁かも知れない。しかし、本作だけでも素晴らしいアルバムとして成立している1枚だ。
発売・販売元 提供資料(2019/12/13)