中原昌也(ex.暴力温泉芸者)によるソロ・ユニットHair Stylisticsのファースト・アルバム『Custom Cock Confused Death』がアートワークを一新し、グレイ・ヴァイナル、ゲートフォールド・ジャケットの豪華仕様で2LP化。
2004年に細野晴臣主宰のレーベルdaisyworld discsよりリリースされた、日本のアンダーグラウンド・シーンを象徴する怪盤が、15年の時を経てついにアナログ化。
不穏なSEと呻き声に潰れたブギーなベースラインが絡む、"Juicy Fruit"を闇鍋で煮詰めたようなアブストラクト・サイケ・ダブ"UNDERHAIR WORLD"。野太く凶悪なブリブリのシンセ・ベースに動物の鳴き声や雑音が挿入される、熱帯雨林を抜けスラムに迷い込んだかのようなスカム/ミニマル・アシッド"KILL THE ANIMALS PROJECT"。チープなリズム・マシーンに反復するベースライン、脳髄に浸食するようなクニュクニュと鳴るシンセ、時折差し込まれるジャジーなギターが不思議とレイドバックした感覚を起こさせる、ルードでアヴァンギャルドなチル・ナンバー"TIRED"など、全21曲を収録。
ノイズ、アヴァンギャルド、ヒップホップ、ダブ、テクノなどあらゆる音楽的要素を溶解させ、猥雑かつ緻密に再構築した、クラブ・ミュージック的視点でも再評価されるべき名作です。今回のアナログ化にあたりアートワークを一新、国内外で活躍する写真家、赤木楠平が手掛けている。
発売・販売元 提供資料(2019/12/03)
中原昌也がぶつぶつ文句をたれている。悪態をついている。おどけている。ベースを弾いている、とびきりファンキーなベースだ。これは、ノイズと呼ばれるものを、過去へと押しやる音楽なのかもしれない。出涸らしからいきいき立ち上がるポップ。とにかく、ここにあるのは、暗い情動ばかりではないんだ。〈軽やかで 重々しく 皮肉に また 優しい風情〉(ヴェルレーヌ)、だ。彼は、目を見張るものを掴まえた。すごいスピリット!
bounce (C)村松 タカヒロ
タワーレコード(2004年07月号掲載 (P103))