ジネット・ヌヴーの珠玉の音楽遺産。ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲。 (C)RS
JMD(2019/10/18)
ジネット・ヌヴーの珠玉の音楽遺産
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
第2次世界大戦後4年目の1949年10月28日、パリ発ニューヨーク行きのエールフランス機が中継点のサン・ミゲル島の霧の立ち込めた山腹に墜落して乗客・乗務員全員が死亡しました。乗客の中にアメリカのコンサートツアーに向かっていた20世紀最高の女流ヴァイオリニスト・ジネット・ヌヴーが搭乗していて、この事故で弱冠30歳の生涯を閉じました。1919年にパリで生れた彼女は7歳でルッフのヴァイオリン協奏曲を弾いてデヴユーし、その後当代最高のヴァイオリニスト・エネスコに師事した後にヴァイオリニストの名伯楽として知られるカール・フレッシュの下で研鑽し、1935年に15歳にしてヴェニアフスキー国際ヴァイオリン・コンクールに出場してオイストラッフに大差をつけて優勝しました。これで彼女の名声は一挙に高まってヨーロッパ・アメリカ各地で人気を博しましたが、第二次世界大戦勃発で演奏活動を停止、終戦後は1948年に掛けてHMVにレコード録音を行うと共に、名声の高まりで急増した演奏会公演の中、1949年10月の航空機事故で不帰の人になりました。彼女の華々しい活動期間は戦前も含めて10年足らず、その間の録音は僅かに30回、協奏曲の録音はレコード録音2回と演奏会録音5回に過ぎません。これらはLPレコード登場前なので音質は不十分で、会場録音は音響条件の不備のために劣悪な物でした。これらの中で2010年にシベリスとブラームスのSPレコードからGHA蘇刻に成功して歓迎戴き、現在は在庫が尽きつつあります。そこで今般、これまで着手できなかったハンス・ロスバウト指揮西南ドイツ放送交響楽団と協演したベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲と、イサイ・ドブロウエン指揮フィルハーモニア管弦楽団とのショーソン:「詩曲」に最新のGHA蘇刻を施してしてヌヴーの没後70年追悼CDを作りました。初期のLPレコードと変わらない高音質でヌヴーの珠玉の音楽遺産をご堪能下さい。
◎制作者のバイオグラフィー
1967年九州大学大学院を修了。日本ビクター(株)研究所・音響情報研究室長、武蔵工業大学・教授、東京大学先端科学技術研究センター・客員研究員等を歴任し、現在は日本女子大学文学部・客員研究員として音文化の研究を行っている。高校時代よりオーディオに取り組み、大学・大学院で電子通信工学を学んで、日本ビクター(株)に入社後は研究所に所属して10年以上に亘って録音スタジオと連携して音楽録音技術とアナログレコードの研究に取り組み、高品質レコードの研究で工学博士を取得、また、多くの録音セッションに参画してトーンマイスターの技量を修得した。研究開発領域では真空管を含むアナログ電子回路と回路網理論、そして信号理論を専門として音響用特殊電子機器の研究開発に携わり、ディジタルオーディオ時代以降は大学時代の音声合成認識研究の延長としてディジタル信号処理に取り組み非調和周波数解析GHAの研究を行なった。大学では音響工学と電子回路工学の研究・教育に携わり、GHA蘇刻の実用化を行なっている。大学時代から吹奏楽とオーケストラに参加してプロの音楽家との交流を通じて音楽を独学し、業務で修得した録音技術を駆使して70枚以上のGHA蘇刻盤を含む250枚を越えるCDを制作して今日に至っている。
発売・販売元 提供資料(2019/10/15)