フィンランドの名門、シベリウス音楽院在籍時にメタリカの楽曲をチェロでカヴァーするプロジェクトを立ち上げ、そのパフォーマンスが話題を呼び、1996年にデビューを果たした、チェロ奏者による弦楽重金属楽団、アポカリプティカ。チェロというクラシカルな楽器でメタリカをカバーするというその話題性で大きな注目を集め、その後コリィ・テイラー(スリップノット/ストーン・サワー)やブレント・スミス(シャインダウン)、ティル・リンデマン(ラムシュタイン)、ジョー・デュプランティエ(GOJIRA)を初めとする数多くのゲスト・ヴォーカリストを迎えた作品を発表、より力強いヘヴィネスをサウンドに生み出すべくドラマーを加入させるなど、自らのサウンドを進化させながら他を凌駕する独自性とともに活動を続ける彼らが、通算9作目となる最新作『CELLO-0』を完成させた!
2015年の前作『SHADOWMAKER』ではヴォーカリストを正式に迎え入れ、メロディ・ラインに重きを置いたヘヴィネスを追求してきた彼らだが、2016年にデビュー・アルバム『PLAYS METALLICA BY FOUR CELLOS』の20周年記念ツアーを実施、そこで再度自分達にある「インストゥルメンタル」というルーツに立ち戻ったのだが、そのルーツをさらに追及すべく制作されたのが、この最新作『CELL-0』だ。エイッカ・トッピネン、ペルットゥ・キヴィラークソ、パーヴォ・ロトヨネンという3人のチェロ奏者とドラマーのミッコ・シレンの4人による全編インスト楽曲で構成されるこのアルバムで、彼らはアポカリプティカというバンドが持つ唯一無二の独自性を更なる高みへと昇華させることとなる…。(1/2)
発売・販売元 提供資料(2019/10/11)
彼らにとって約17年振りとなる全編インスト楽曲によるこの最新作に関して、メンバーはこうコメントを残している。「歌詞を使わずに何かを表現する、というのは非常に難しいことだ。でもこのアルバム『CELL-0』で、俺たちは今まで見つけることができなかった自分達の世界を構築する分子のようなものを見つけ出したんだ。まるで何百万もの細胞が集まって生命を生み出すように、何百万もの音階が音楽を生み出していく、その全体像を俯瞰すれば、あるパターンが見えてくるのさ」
自分自身のルーツを追求し、そこから次なるレベルへと自らのサウンドを昇華させたこの最新作で、アポカリプティカというバンドは真のチェロ・メタル・バンドとしての存在感をさらに強めたのだ。セルフ・プロデュースという形態をとり、ミックス・エンジニアにはアンドリュー・シェップス(レッド・ホット・チリ・ペッパーズやラナ・デル・レイ、メタリカやブラック・サバスらを手掛ける)を迎え、地元ヘルシンキにあるSonic Pump Studiosでレコーディングされた今作には、ダークな音像が戦慄を感じさせる「Ashes Of The Modern World」や、チェロ・リフがリードするアグレッシヴなスラッシュ・トラック「En Route To Mayhem」など、バンドの持つ音像をより際立たせた楽曲が収録されている。 「このアルバムに収録されている曲は、総てが何層にも重ねられ、複雑な構成を持っている。それぞれの楽曲が何について演奏されているかを説明するのは簡単なことじゃないけど、それこそがインストゥルメンタル曲の素晴らしさだと思うよ。俺たちの曲を聴いて、別々の感情や思いを経験してくれたら、それこそ最高さ」 ─ エイッカ・トッピネン(cello)(2/2)
発売・販売元 提供資料(2019/10/11)
チェリスト3人とドラマーを擁する特殊メタル楽団が5年ぶりとなる9枚目のアルバムを完成。今回は久しぶりにインスト曲のみで勝負しており、本来の持ち味を遺憾なく発揮した力作と言っていい。激情と悲哀のコントラストを極限まで突き詰めた音像は、映画のサントラの如き大仰なアレンジで聴く者を異世界に誘う。スリリングな緊張感が渦巻くなか、シンセやフルートを導入した奥深いアレンジも効果的だ。
bounce (C)荒金良介
タワーレコード(vol.435(2020年1月25日発行号)掲載)