Parade＜Black Vinyl＞

1980年代、ニュー・ロマンティック界の貴公子的存在として大ヒットを放ったスパンダー・バレエ。世界的大ヒットを手にしたノース・ロンドンの青年たちが満を持してリリースした通算4作目のアルバム、それが『PARADE』である。その黄金期にリリースされたアルバムが、リマスター音源のアナログLPで復刻となる。アルバムのリマスターとカッティングはロンドンのAIRスタジオで、、メンバーのゲイリー・ケンプとオリジナル・アルバムのプロデューサーの一人であるTony Swanの監修の元、名マスタリング・エンジニア、John Webberによって行われた。

1983年にリリースしたサード・アルバム『TRUE』が全英No.1、全米TOP20に輝き、シングル「True」は[英1位/米4位]、続く「Gold」も[英2位/米29位]とイギリスだけでなくアメリカでも大ヒットとなった彼ら。英国だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、さらにオーストラリアやニュージーランド、そしてここ日本まで世界をツアーするバンドへと急成長を遂げた。時は折しも1980年のニュー・ロマンティック・ブーム真っ只中。彼らはたちまち新たなる英国発音楽ムーヴメントの立役者として注目される存在となった。

そんな世界的大成功を収めた彼らが次作となる『PARADE』で目指したのは、アリーナ・クラスのライヴを行うバンドとして相応しいサウンド。バンドのメイン・ソングライターでもあるゲイリー・ケンプは、こう当時を振り返っている:「俺は、このアルバムの新曲を自分たちがライヴ・アクトになるための装置だとみていた。"True"から"Highly Strung"を作っている間に、俺たちはその"ライヴ・バンド"へと成長していった。元々あまりライヴに重点を置いていなかったバンドとしてスタートしたことを考えるとおかしな話だけど。でも自分たちが大きな会場でライヴを行うようになってみたら、その事実が音楽に影響するようになってきた、例えば"With The Pride"みたいにね。その中で自分は、この曲はライヴではどう聴こえるだろうって考えるようになっていった。『PARADE』を作っていた時、自分たちが10か月にも亘るツアーに出ることが分かっていたと思うんだ」

『TRUE』と同じ、Tony SwainとSteve Jolleyをプロデューサーに迎え、スパンダー・バレエは『PARADE』をジョルジョ・モローダーのミュンヘンにあるMUSICLANDスタジオでレコーディングすることに決めた。ちなみに同じスタジオではクイーンもレコーディングをしていたという。アルバムからは、全英TOP3、全米TOP40ヒットとなった「Only When You Leave」をはじめ、ロック・バラードの「I'll Fly For You」や、「Highly Strung」などのヒットが生まれた。またMTV時代に相応しく、「Highly Strung」のビデオは香港で、そして「I'll Fly For You」のビデオはニューヨークで撮影されている。

『PARADE』からの楽曲をライヴで披露する頃には、ロンドンのウェンブリー・アリーナを6日間ソールド・アウトにし、クリスマスにはバンド・エイドの一員として参加した「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」がチャートのトップに。そしてPARADEツアーが終わる1985年には、ライヴ・エイドのステージに立ったスパンダー・バレエ。彼らの黄金期を代表する1枚とも呼べるアルバムが、アナログLPで復活となる。