1947年生まれの美術家、堀浩哉はこれまで数多くの国際展に参加し、現在も絵画作品とパフォーマンス作品の発表を続けている。本作品集は、堀が組織していた美大生からなる学生運動グループ・美共闘の解散後の70年代に発表された作品の記録で、この時期、彼はテープレコーダー、タイプライター、ヴィデオなどのメディアを用いたパフォーマンスを行っていた。最近までそれらは顧みられる機会が少なかったが、今回堀の元に残されていたテープから、当時のエッセンスを満載した未発表音源を初めて公開!限定150!大西清自に続く、Japanese Art Sound Archiveとのコラボ・リリース。
tr.1 MEMORY-PRACTICE (Reading-Affair)
白い服を着て顔を白く塗った男女が、当日の新聞を一文字ずつ交互に音読する。その声は2台の離れたオープンリールレコーダーによる「テープディレイ」システムによって、空間に堆積していく。時間が経つにつれて音響装置のハウリングノイズも大きくなっていく。パフォーマンスは記録用テープが終わるまで、2時間ほど続けられた。堀は後にこのとき「静かな修道院でのミサのような時間が流れ」たと語った。
tr.2 ACT展 No.3
男が任意の本を文節ごとに区切りながら声を出して読む。節と節のあいだに、テープに録音された「REVOLUTION」という堀の言葉が挿入される。本作品の録音には、声のほかにカセットテープレコーダーを操作する音や、開け放たれた窓の外の激しい交通騒音などが聞こえる。
tr.3 調書 Vol.3
堀は東京からバイクで北に向かい、走行音を録音しながら東北地方を丸一日走りまわって東京に戻った。そして会場にバイクを展示し、顔を白く塗った俳優を乗せて運転のパントマイムをさせた。さらに、隣室にテープレコーダーを置き、走行音を再生した。
「調書」というシリーズ名はル・クレジオの同名の小説からとられた。しかし、この小説だけでなく、警察に逮捕されたときに作成される「本人から一番遠い虚の痕跡」という意味もこめられていた。
tr.4 調書 Vo1.4
堀は自宅から会場の横浜市民ギャラリーに向かう途中で目にしたものを音読し、カセットテープレコーダーで録音した。そして展示台にその録音を小さな音で再生するカセットテープレコーダーを残して会場を去った。
tr.5 MEMORY-PRACTICE (Reading-Affair)
堀は98年に美共闘メンバーが再結集した「AIR・空気展」においてパフォーマンスを再開した。この作品でもtr.1と同じようなテープディレイシステムを使い、堀自身が顔を白く塗り演じた。テキストは1972年のあさま山荘事件、オウム真理教による1989年の坂本堤弁護士一家殺害事件、1997年の神戸連続児童殺傷事件のそれぞれの加害者による供述調書を使用して、それを交互に一文節ずつ音読した。
発売・販売元 提供資料(2019/10/02)