84歳を迎えた今も、毎年1作のペースで新作をコンスタントに発表し続け、精力的に活動を続けている米音楽界の重鎮トランぺッター/プロデューサー、ハーブ・アルパート。A&Mレコーズの創始者の一人としても知られ、音楽シーンの大きな影響を与えた彼は、ここ日本では「オールナイトニッポン」のテーマ・ソングである「Bittersweet Samba」でお馴染みであるが、「Rise」、「A Taste Of Honey」、「This Guy's In Love With You」、「The Lonely Bull」などのヒットを世に送り出している。これまで9回グラミー賞を受賞し、世界で7200万枚のアルバム・セールスを記録している彼は、まさにアメリカン・ミュージック・シーンを代表するレジェンドである。
その彼の最新作『OVER THE RAINBOW』。アルバムに収録されているのは、オリジナル・ナンバー1曲と、広く知られたスタンダード・ナンバーをハーブ・アルパートならではの洗練されたアレンジでカヴァーした全12曲。ハーブのスタジオと、エンジニア/アレンジャー/ミックス・エンジニアであるJochem Van Der Saagのスタジオで8か月を掛けてレコーディングされた。アルバムからの先行シングルとなるのは、オリジナル・ナンバーの「Skinny Dip」。プロデュースもハーブ自身が手掛けている。
カヴァーとして彼がピックアップしたのは、ビル・ウィザースの「Ain't No Sunshine」やタイトル・トラックでもある「Over The Rainbow」、バリー・マニロウの「Copacabana」、ビリー・プレストンの「You Are So Beautiful」、EW&Fの「Fantasy」など。これらのスタンダード・ナンバーを選ぶにあたって、ハーブ自身は、このように語っている。「オリジナル曲は、弾いてて楽しいメロディーが無ければならない、例えば"Skinny Dip"のように少しやかましいけど楽しい感じとかね。ジュディ・ガーランドの素晴らしい決定版がある(そして他にも素晴らしいヴァージョンがある)"Somewhere Over The Raimbow"を取り上げるのは常に危険だが、マイケル・シャピロがオープニング部分のリフレインを歌い、エデュアロ・デル・バリオによる美しいオーケストレーションが施された今のヴァージョンを気に入っている」(1/2)
発売・販売元 提供資料(2019/08/23)
また彼が収録曲についてこうも語っている。 「Jochem Van Der Saagがアレンジを手掛けた"Nature Boy"は、思い入れのある曲の一つだ。曲を作ったエデン・アベズとは個人的に知り合いだったし、一緒に興味深い時間を過ごしたことがあったからね。バビック・ライハルトによる"All Love""は、彼にしか出来ないユニークなジプシー・ギター・スタイルを確立した偉大なる父、ジャンゴ・ラインハルトへの美しいトリビュートだ。そして"You Are So Beautiful"は、妻であり私の"天使"であるラニ(ホール)に対する想いそのものだ。 "Always On My Mind""は誰もが知っているカントリー・ソングだが、新たにインストゥルメンタルとしてアレンジしても、同じように心地よく感じるんだ。モーリス・ホワイトとエディアルド・デル・バリオが作り、エディアルドがアレンジを手掛けた"Fantasy""はずっと好きな曲だ。そして「Ain't No Sunshine」は、ビル・ウィザースの素晴らしいヴァージョンがあるが、そこにハッサン・ジフリィと妻、ラニ・ホールの歌を添え、ハーブ・アルパートっぽさを足してみた」
カヴァーの中でも一際輝いているのが、ジャズ・トランペットの巨人、ルイ・アームストロングへのトリビュートである「Wonderful World」だろう。この曲を演奏する際、ハーブはルイをそのままカヴァーするのではなく、その曲が世界に与えた影響と、世界に光をもたらし、互いをより良く理解するためのツールとなるであろう音楽の力に光を当てようと思ったという。人生と愛、そして平和と音楽の力、そのすべてへの讃歌を奏でるハーブ・アルパートの最新作『OVER THE RAINBOW』。世代を超える魅力が詰まった1枚である。(2/2)
発売・販売元 提供資料(2019/08/23)