現在のアメリカン・ミュージック・シーンで最も注目を集めるシンガー・ソングライターの一人、Sturgill Simpson(スタージル・シンプソン)。その音楽性は今やカントリー・ミュージックに収まり切らず、アメリカン・ミュージックのメインストリームへと大きく漕ぎ出している。その彼が通算4作目となるニューアルバム 『SOUND & FURY』 を2019年秋にリリースすることを発表。第59回グラミー賞にて「最優秀カントリー・アルバム賞(Best Country Album)」を受賞し、「最優秀アルバム賞(Album of the Year)」にノミネートされたアルバム『ア・セイラーズ・ガイド・トゥ・アース』以降、約3年ぶりとなるニュー・アルバムとなる。
『SOUND & FURY』。これはスタージル・シンプソンにとって単なるニュー・スタジオ・アルバムではない。アメリカン・ロックとジャパニメーションを革新的なアプローチで融合させた映像作品のタイトルでもある。その映像作品は、スタージル本人が考案した"Sound & Fury"の原案を元に、ニンジャバットマンを監督した神風動画の代表 水崎淳平氏とキャラクター・デザイナーを務めた岡崎能士氏が改めてタッグを組み、ハイブリッド・アニメーション作品としてひとつの世界観で制作されている。映像制作には神風動画と共に、Grayscaleart、マイケル・アリアス氏、D'ART Shtajio、森本晃司氏らが監督および制作スタジオとしてオムニバス形式で参加!
アルバム『SOUND & FURY』のレコーディングの大部分は、ミシガン州ウォーターフォードにあるMcGuire Motor Innで行われた。プロデュースを手掛けたのは、スタージル本人。また共同プロデューサーとして、ジョン・ヒル(ケイジ・ジ・エレファント、ポルトガル・ザ・マンなど)とスタージルのバンド・メンバーであるBobby Emmett、Chuck Bartels、Miles Millerが名を連ねている。アルバムのサウンドは これまでのアウトロー・カントリー・スタイルから大きく踏み出したアメリカン・ロック・サウンド。スタージルが"ダーティで熱気が立ち上るようなロックンロール・アルバム"と表現する本作は、映像のスチームパンクな世界観と素晴らしくマッチしている。それはアルバムからのリード・トラックとなる「Sing Along」のサウンドとミュージック・ビデオを見れば分かるだろう。
ソングライターとして、そしてストーリーテラーとしてその手腕が高く評価されているスタージル・シンプソン。アメリカ音楽界の最重要シンガー・ソングライターがサブカルチャー・シーンの要注目クリエイターでもあることを証明する『SOUND & FURY』。一つのジャンルにも、そして国境もカテゴリーにも収まることを良しとしない、リアル・アウトロー・アーティストの姿がここにある。
発売・販売元 提供資料(2019/08/23)
グラミーの最優秀カントリー部門を受賞した前作から約3年半ぶりの新作は、音楽と共に日本のクリエイターらによるアルバム全編のアニメーションも作られたというコンセプト作。サウンド的にはルーツ音楽をベースにしつつ、歪んだギターや、近未来的なシンセが目立ついい意味で驚きのロック・サウンドで、過去作とは違うエネルギッシュなパワーに圧倒される。彼にとって新境地の男気アメリカーナだ。
bounce (C)赤瀧洋二
タワーレコード(vol.432(2019年10月25日発行号)掲載)