南ロンドン発。UKジャズ・シーン注目の新世代ピアニスト=Ashley Henry(アシュリー・ヘンリー)の最新作『Beautiful Vinyl Hunter』
アシュリー・ヘンリーは1991年南ロンドン生まれ。5,6歳頃から家にあったピアノを弾き始め、アデルやエイミー・ワインハウスを輩出したブリット・スクール、リーズ・カレッジ・オブ・ミュージック、ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックで学んだ。2016年にJazz re:freshedからEP「アシュリー・ヘンリーズ 5ive」を、2018年にはソニーミュージックUKより「Easter EP」をリリース。本作『ビューティフル・ヴァイナル・ハンター』がスタジオ・フル・アルバムとしての第1作となる。
アルバムの発売に先駆け、マイルスのDNAを受け継ぐトランぺッター:キーヨン・ハロルドが参加した「ビトゥイーン・ザ・ラインズ」のミュージック・ビデオが公開になった。キーヨン・ハロルドとは、昨年キーヨンのUK&ヨーロッパ・ツアーにアシュリーが参加したのがきっかけで本作のゲスト出演につながったのだという。今回公開されたミュージック・ビデオに登場するラッパーのスパークスはマンチェスターで活躍するアーティストで、アシュリーがリーズの音楽大学で学んでいる時に知りあって以来の仲間。この10年ほど一緒に曲を作っている気心知れた仲間が登場するこの映像は、UK注目の若手ビジュアル・アーティスト:ヴァイケシュ・ゴ-ヴィンド(Vikesh Govind)が監督している。
アシュリーは7歳頃からアナログを集めていたマニアで、本作のアートワークはシングル・ジャケット含めすべて友人のデザイナーが手掛けている。「自分で作った音楽は、視覚的にもきちんと伝わってほしいという思いが強くて。同年代の若いクリエイターと組んでビジュアルを作ってもらったんだ。僕はずっと音楽をレコードで聞いてきた。育ったのは圧倒的にCDの時代で、ヴァイナルは死にかけのフォーマットだった時代。それが今、自分が作った音楽をリリースできる立場になったらヴァイナル人気が復活してきている。かつて僕のインプットのためのものだったヴァイナルが、今度は自分の音楽のアウトプットとして戻ってきた」と語っている。
アルバムには"ビート・サイエンティスト"の異名をもつマカヤ・マクレイヴン、モーゼス・ボイド、ビンカー・ゴールディング、セオ・クローカー、エディ・ヒック、ザ・シネマティック・オーケストラのルーク・フラワーズ、ジョシュア・アイデヘン等国籍・世代を超えた個性派ゲストが参集している。トラック6の「クレーンズ(イン・ザ・スカイ)」はソランジュのインスト・カバーとなるが、それ以外は全曲アシュリーと仲間たちによるオリジナル。曲調もさまざまでコンポーザーとしての将来にも期待がかかる。
発売・販売元 提供資料(2019/08/02)
南ロンドンの大注目ピアニスト/コンポーザーによるデビュー・アルバム。アシュリー・ヘンリーは、これまで2枚のEPをリリースし、2019年のグラストンベリーにはライル・カーナーのサポートでステージを共にするなど、一挙手一投足から目が離せない人物だ。ジャズに加え、ロックやヒップホップからも影響受けた彼の多彩な嗜好がみれる本作には、ジャズ、R&B、ブロークンビーツ、ベース・ミュージックまで咀嚼し、繊細で詩的なタッチから熱を帯びたプレイまで、ロバート・グラスパーを彷彿とさせる多芸多才ぶり。アップテンポにカヴァーしたソランジュ《Cranes(In the Sky)》でのエレガントな演奏も聴きどころ。
intoxicate (C)青木正之
タワーレコード(vol.141(2019年8月20日発行号)掲載)