ベルベル系地中海音楽の大御所が、アルジェリアの魂を歌う!これまでは地元オーレスに息づくナンバーを中心にしていた彼女だが、今回はアルジェリア各地で親しまれてきた幅広いレパートリーを取り上げ、同国の地理的な広大さやその文化の幅広さを紹介する内容になった。 (C)RS
JMD(2019/09/10)
地中海南岸に位置し、アラブ・アンダルース音楽の拠点のひとつとして知られてきた国アルジェリア。その地の先住民であるシャウイ人の音楽を現代化し、それまで誰もが聴いたことがなかったような新鮮なサウンドを聴かせてくれたのが、女性歌手フリア・アイシが2008年に発表した『オーレスの騎兵』(ライス HMR-792)でした。
フリア・アイシはアルジェリア北東部のアトラス山脈にあり、かつて独立戦争の出発点として知られた町オーレスの生まれ。そして彼女は主流のアラブ系ではなくこの地域に住む先住民(いわゆるベルベル)系のシャウイ人で、そんな自身のルーツである伝統音楽を祖母から教わったのだそうです。ただ彼女は最初からプロの音楽家を目指していたわけではなく、若い時分はパリで心理学を学びさらには教壇にも立ちましたが、音楽への情熱はやむことなく80年代半ばには音楽活動を活発化させ、1990年にはフランスの民俗音楽レーベルからCDデビュー。その後幾つかのレーベルを転々とした後に辿りついたのが、現在も所属するフランスの人気レーベルAccords Croisesで、そこから発表した最初の作品が前述した『オーレスの騎兵』でした。その後2013年には『レナヤテ~アルジェリアの女たちの歌』(HMR-7045)を同レーベルから発表、そこでは同国で活躍してきた様々な伝統系女性歌手のレパートリをカヴァーしていました。
そして2017年の暮れに発表された彼女の最新作がこちらのアルバムです。これまでは地元オーレスに息づくナンバーを中心にしていた彼女ですが、今回はアルジェリア各地で親しまれてきた幅広いレパートリを取り上げ、同国の地理的な広大さやその文化の幅広さを紹介する内容となりました。サウンド的にはアルジェリア独自の楽器マンドールをはじめグンブリ、ウードといた弦楽器、葦笛ネイ、そしてフリア自身が歌いながら叩くベンディールを含むパーカッション類を交えた伝統的かつアクースティックなアンサンブルで聴かせてくれる内容。さらに時に伝統的なコブシ回しを持つフリアが独唱を聴かせるなど、様々な音楽スタイルを披露し、同地の伝統に根付いた素晴らしい歌声をたっぷり楽しませてくれます。
久しぶりにアラブ・アンダルース音楽の素晴らしさ、そして奥の深さを感じさせてくれる作品。ワールド・ミュージックを心から愛する人にお勧めの心地よいアルバムです。
発売・販売元 提供資料(2019/08/15)