90年代初め、20代で出会った3アーティストによるYes! Trio
95年にNY Smalls等を拠点にして以来25年 伝統に着実に根差し、"今"のグルーヴを追究した3人の最新録音
アリ・ジャクソン、アーロン・ゴールドバーグ、オメル・アヴィタル、現代ジャズ・シーンで着実なキャリアを積む、3人のアーティストによるYes!Trio。本作は2011年にリリースした作品『Yes!』から実に8年ぶりの第二弾となります!!
1976年デトロイト生まれ。音楽一家に育ち、ウィントン・マルサリスのジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラで10年以上もドラマーをつとめるアリ・ジャクソン。71年、イスラエルに生まれ、イエメン、モロッコ出身の両親のもと、ジューイッシュとして、独自の旋律とグルーヴを生み出して唯一無二のスタイルを切り拓いたオメル・アヴィタル。ボストン生まれの秀才であり、ジョシュア・レッドマン、ブラッド・メルドウといった一世代上のアーティストのバンドで頭角を現して以来、多忙を極めるピアニスト、アーロン・ゴールドバーグ。3人の背景は、異なるところにあったともいえますが、核にあるのは、ジャズの"伝統"に根ざす表現。歴史が培ったゆるぎない伝統的な表現を出発点にした演奏があります。
90年代初めにNYで出会って以来、25年の友情関係とリスペクトがあるトリオ。演奏する楽曲は10曲中、2曲をのぞいてオリジナル(LPは7曲中6曲がオリジナル)になりますが、どの演奏にも、スウィング感を基本にしたグルーヴがあるのが、このトリオの特長!サラブレッド的なアリ・ジャクソン、コブシを回すような哀愁のメロディを混在させながらも、ジャズ・グルーヴの本質を感じさせるオメル、スタイリッシュで、ソフィスティケートした表現の中にも伝統を感じさせるアーロン。3人は歴史の継承者的なものをも感じさせます。
"僕たちは、ジャズの歴史を創り上げてきた巨匠を直接見て、共演を実現できた最後の世代と思う。そのことを大切に、幸せに思う"とも語るアーロン。ブルージーなフィーリングと現代性が合いまったテーマと、王道スウィングのソロ演奏が合いまったオープニングをはじめ、スタジオでの録音とは思えない"Muhammad's Market"(オメルの2016年作品『Abtbul Music』のオープニングも飾った曲)の強靭で白熱した演奏など、新旧、王道なるものとオリジナリティが渾然一体となった演奏。現代の最高峰のピアノ演奏があります!
発売・販売元 提供資料(2019/09/04)
ジョシュア・レッドマンのグループなどで活躍するアーロン・ゴールドバーグ、ウィントン・マルサリスに重き信頼を受けるアリ・ジャクソン、そしてイスラエル・ジャズのパイオニア、オメル・アヴィタルからなる〈Yes!Trio〉、7年の時を経ての2作目。様々な作品での共演やそれぞれのリーダー作への参加(OAMトリオもあった)も多く、夢の共演というのは少し違うが、3人の関係が対等なこの名義はやはり特別だ。出自は違えど互いにリスペクトし、歩んできたことが聴いて取れる。だからこその自信と余裕に満ちた確かな演奏は、さりげなく、そして丁寧に用意された『本日のグルーヴ』、極上の一品。
intoxicate (C)片切真吾
タワーレコード(vol.143(2019年12月10日発行号)掲載)